1960(昭和35年)/1/3公開 73分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11519
配給:東映 製作:東映
美空ひばり主演の痛快白浪五大男の決定版。知らざあ言って聞かせやしょう・・・等、お馴染みの名せりふ、名場面をふんだんに取り入れた唄と笑いと絢爛たる殺陣を佐々木康監督のメガホンで描く、超豪華版の娯楽時代劇。クライマックスでは、多勢の捕り方に追われた弁天小僧たちが芝居小屋に逃げ込み、折から開演中の人気狂言「白浪五人男勢揃いの場」を自ら演じて大見得を切るという圧巻の見せ場を用意して、タップリ楽しめる仕掛けとなっている。
江の島といえば弁天様。岩本院の広場には黒山の人だかり。御開帳の余興の舞台に踊る寺小姓の菊之助の美しさは格別で、皆トロリとした目つきである。旗本の後家・お縫は完全に悩殺されて、玄照和尚にワイロを贈り、取り持ちを頼んだが、そこは菊之助、稚児とは言えど男一匹、芸妓の真似は出来ぬと蹴っ飛ばす。こんな腐った寺院にはと飛び出した時、悪党の寺侍・戸沢平馬が和尚の女房を斬って金をかっぱらい、墓守りの娘も斬ったところにぶつかった。こんな悪党見たことないと菊之助はバッサリ平馬を斬って逃走。ショックを受けたは玄照和尚、勘違いして、菊之助を強盗殺人で訴えた。
花のお江戸に来た菊之助は、米に飢える町民と、千両箱をカッパラっては、貧乏人にくれてやる底抜けの大盗賊・日本左衛門、南郷力丸、赤星十三の白浪トリオに驚きながら、懐しの実母を訪ねた。だが実母のおふじは、伜が指名手配の犯人と聞かされて、街のダニ兼岡っ引の安五郎を待ち伏せさせる。岩本院を飛び出して、実母にも裏切られた菊之助、完全にアタマに来て、「太く短く、弁天小僧として生れ変るぜ」と改名宣言、捕手を蹴散らして逃げ出し、危い所を加代という可憐な娘に救われた。
折しも例の白浪トリオの家ではチリ鍋をつつきながら一仕事済んだ後の快いゴールデン・アワーを楽しんでいたが、飛び込んで来た弁天小僧・菊之助にびっくり仰天。しかし話し合ってみると、世間の狡猾な悪党に一泡吹かせたいという哲学が一致、ここに弁天小僧も仲間入り、白浪四人男が誕生と思いきや、もう一人、忠信利平という男がいた。蔵前の浜松屋に用人棒となって住み込んでいるが、実は、玄照、安五郎ら不良中年が浜松屋で米の買占めを企んでるのを見届けようと張り込んでいるのだ。但し、利平は大したダンディながら、浜松屋の娘・お鶴の切ない胸の内にも気づかない不粋者である。
一方、おふじの料理屋に借金のかたに連れてこられた娘が女中となって現れた。名前は加代、そう、菊之助を救ったリッパな娘。これに食指を動かした好色坊主が玄照だ。春のおぽろ月夜にロ説かんとした時、弁天小憎が現れてノック・ダウン。加代の身上を聞いた弁天は胴巻をズシリと渡して去って行った。
色男の利平が帰って来ての報告によると、浜松屋一味は、米を買い占め、値の上がったところを見計らってドッと売り出し、大儲けを企んでいるということだった。そこで、この正義感に溢れる五人の白浪グループは、素晴らしいアイデアを生み出した。さてその結果は…。
「ひばり十八番」シリーズ(2)