1960(昭和35年)/7/31公開 71分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11818
配給:東映 製作:東映
天保末期、大名の当主として生まれながら、時の不合理な権力に抗して家出、浮世捨三郎と名乗って悪政はびこる明石十万石の安寧を願い敢然と立ち上がる元藩主・松平直之助。この痛快児を巡って恋と策略、剣と男気が渦巻いて疾風波瀾、興趣万丈の娯楽時代劇の完結篇。
今は修羅場と化した伊丹屋根岸の寮で、小品は斉信の凶刃に倒れた。明石藩十万石の粛正を貫徹しようとする捨三郎は、伝次を伴い明石へ向かう。捨三郎を慕う小稲と美代も後を追い間道を急いだ。間道には右源太の殺し屋・天堂一角一味が待ち伏せていたが、捨三郎が現れ危いところを免れることができた。そして斉信一行も明石へ。道中では相変らずの乱行が続き、尾張領内では道端の母娘を無礼討ちにした。妻子を殺された猟師の多九郎は復讐を誓う。これを聞き、怒った尾張大納言斉朝は、公儀大目付・多門伝八郎の進言を入れて明石藩の取潰しを決意した。折しも尾張の国に差し掛かった捨三郎一行は、不審人物として捕えられが、これがかえって幸運を呼び、捨三郎は斉朝公に直々に会うことができた。明石藩の粛正を誓い、取潰しの儀の延期を涙ながらに歎願した。名古屋城を出た捨三郎は、右源太に欺かれ捨三郎を斉信と信じ込んだ多九郎の短筒に鈴鹿峠下に消え、小稲と美代は捕われた。二人が斉信の手討ちになろうとした時、死んだはずの捨三郎と伝次が現われ、斉信は多九郎の短筒に倒れる。一方明石では百姓一揆が起きていた。お家乗っ取りを策す右源太と国家老・内藤次郎右衛門、斉信の妾お冬の方らが暴逆の限りを尽くし、僅かの忠臣とともに正義を護る捨三郎の弟・大学の身までが危くなっていた折、明石に到着した捨三郎は、右源太一味の鉄砲隊の銃列をものともせず城内に躍りこんだ。
「まぼろし大名」シリーズ(2)