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続続べらんめぇ芸者 

The Prickly Mouthed Geisha Pt.3

1960(昭和35年)/8/7公開 77分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11856 
配給:東映 製作:東映

好評「べらんめぇ芸者」シリーズ第三弾。意気と度胸でまかり通る鉄火芸者の小春姐さんと家出した財閥御曹子を巡って、恋愛騒動・珍事件が続発。ユーモア溢れる下町編。

続続べらんめぇ芸者 
(C)東映

ストーリー

小春は、柳橋きっての芸者屋・松の家の一人娘で売れっ子ナンバー・ワンでもある。母のおとしは、小春をお嬢さんに育てて良いお婿さんをとって貰おうと学校まで出したのだが、当の小春は芸者も立派なビジネス・ガールという極めて現代的な見解から、自ら芸者の世界へ飛び込んだのである。この芸者の世界も昔とはがらりと趣きを異にしている。松の家を例にとってみても、株に異常なまでの熱心さを示す富路、豊満な肉体を売り物に誰の且那だろうがおかまいなしにモーションをかける悠子、朝八時から夕方五時までしか働かないという女中の静子、これらはまだいい方で、劇団の俳優と駈け落ちをして三面記事を賑わす竹葉に至っては言語道断、全くおとしの気苦労も多いという現状である。こんな中にあって小春は、芸事にセンスがないと言われて体を張ろうとする美代一を励まして、根気よく踊りを仕んだり、くり子とすし源の息子・正一の仲をとりもったりと忙しい毎日だ。さてそれはある晴れた日曜日のこと。小春たちは久し振りに浩然の気を養おうと、一同連れ立ってモーターボート遊びに出かけた。陽に焼けるのを恐れた昔の芸者衆には考えも及ばない事である。その日小春は、雄作という二枚目の男性を海中から救い上げた。雄作は、いい気持でヨットを楽しんでいたところを物凄いスピードで飛ばして来た小春たちのモーターボートのあおりをくって海中へ投げ出されたのである。小春はホテルのボーイと称するこの雄作に、ちょっぴりハートを波立たせた。背が高くて男らしくてハンサムな雄作、男嫌いの鉄火肌で通している小春姐さんにしては珍しいことである。
それから数日後、小春は、安井建設の竜造たちにお座敷でからまれているところを計らずも雄作に助けられた。安井たちごろつきを向うに廻し一歩も退かない雄作の素晴らしい腕力を眼のあたりにした小春は、いよいよ雄作へのお熱を高くしてしまった。だが小春は、雄作が刑事のような二人の男にいつも追い廻されているのが気になった。また、イミテーションだと云って雄作がくれたダイヤの指輪がどうやら本物のダイヤらしい。ホテルのボーイがそんな高価なものを持っているはずがない。それに最近ダイヤの盗難事件が報じられている。てっきり雄作が泥棒と早合点した小春は、雄作に自首を勧めようとホテルヘ出かけた。ところがここでも二人の刑事らしい男に踏み込まれた小春と雄作は、咄嗟にホテルの前に止っていた遊覧バスに逃げ込んだ。二人を乗せたバスは山の家へ到着、小春と雄作は思わぬことからそこで一夜を明かすことになった。二人の刑事は執拗に山の家まで追って来て二人を取り囲んだ。万事窮すと思われたが、意外も意外、雄作はホテルのボーイと偽っているが実は大阪の田所財閥の御曹子で、一千万円という大金を持って東京へ飛び出して来た世間知らずのお坊ちゃん。そして小春が刑事と思い込んでいた二人は、大番頭の上岡と中番頭の野村で、雄作を家へ連れ戻そうと後を追っていたのである。野村は小春が雄作をたらし込んだものと思い込み、小春を心なく罵倒した。怒った小春はそのまま帰京したが、そこでも一悶着起きていた。小春を嫁にしたいという雄作の手紙を受け取った雄作の父・幸平が大阪から上京し、芸者を田所家の嫁には出来ないと松の家へ現れていたのである。芸者は立派な商売だと励んできた小春も遂に堪忍袋の緒がふっとんだ。「べらんめえ!」胸のすくような啖呵が飛び出し、幸平は放々の態で松の家を出ていった。これで何もかもおしまい。小春の恋も両国の花火のようにはかなく消えてしまったのだ。
威勢のいい祭囃子が川面を流れ、柳橋界隈を神輿が練り歩く。年に一度のお祭りに、芸若衆も総出で神輿をかつぎ、山車を引いた。しかし、雄作を失った小春の心は周囲とは反対に沈むばかり。そこへおとしがにこにこ顔で飛んで来た。雄作が家を捨てて裸一貫で小春に結婚を申し込みに来たのだという。祭り囃子がわあッと鳴る。小春は雄作を、雄作は小春を探し求めて雑踏を駈けた。祭り囃子が遠く流れて目まぐるしい交差点、どちらが先に姿を見たのか小春と雄性は車の洪水の中で抱き合っていた。

続続べらんめぇ芸者 
(C)東映
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