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賑やに開かれる町内の盆踊り、集団就職した働く若者たちの集まりである。“根っこの会”の面々、酒屋の店員で会のリーダー大吉と恋人の花屋の弘子をはじめ、栗城病院の娘･洋子、看護婦の美也子、それに豆腐屋の店員･新太郎たちが楽しそうに踊ってっている。そこへ突然、町内の憎まれ者であるチンピラの多可志をはじめとする石山、塚田、西川、谷口たちが乱暴にもオートバイで暴れ込んできた。“町から暴力を追放しよう”というビラを出す真面目なグループ“根っこの会”に多可志たちチンピラは、かねてから反感を抱いていたのだ。だが多可志たちは“根っこの会”の思わぬ反撃を受けて退散してしまった。多可志は、両親のいない淋しさから今はチンピラのグループに属してはいるが根は素直な少年である。女給をしている姉の小夜子はそんな弟の将来を思っては胸を痛めていた。盆踊りの夜の腹いせから、多可志たちチンピラは、“根っ子の会”の店員たちに嫌がらせを続けた。そんなある日、貧しい新聞配達少年･昭一が、彼らの喧嘩に巻き込まれて重傷を負ってしまった。責任を感じた多可志は、昭一を栗城病院に入院させ、三万円の入院費を工面しようとした。そんな多可志の素直な一面に、栗城病院の娘･洋子はいつしか心惹かれていく。しかし多可志にとって三万円は大金だ。彼は兄貴分であるヤクザ･岸本に金策を頼んだ。多可志の姉の美しい小夜子に目をつけていた岸本は、小夜子を保証人にする条件で多可志に三万円を貸した。
一方“根っ子の会”は相談役である栗城病院の医師･栗城八郎の力添えでその組織を強めていった。そのため、パーティー券の押し売りや悪質な街頭の立ち売りなど多可志たちチンピラの商売はすっかり上がったりだった。焦ったヤクザの岸本は“根っ子の会”をつぶすべく、先ずリーダーの大吉を手痛い目に遭わせるよう多可志に命じた。多可志は単身、大吉を襲った。ナイフを手に心死に挑む多可志だが、意外に強い大吉に、彼は組み伏せられてしまった。その時、石山たちチンピラ隊が多可志の助太刀に飛び出してきた。大吉との一対一の勝負を望んでいた多可志は、卑怯な味方の助けに激怒、逆に大吉を助けて石山たちを殴り飛ばしてしまった。
この事件以来、多可志の純な心を知った大吉は、彼にチンピラグループから足を洗い、味噌問屋の万作のところで真面目に働くように勧めるのだった。仲間を裏切ったとリンチを受け、すっかりヤクザの世界が嫌になった多可志は、大吉の友情に漸く心を動かされていた。これを知った姉の小夜子も熱心に更生を勧めた。多可志のアパートで大吉をはじめとする“根っ子の会”の若者たちによって多可志の就職祝いが盛大に開かれた。多可志が岸本に借りた三万円の借金に苦しんでいるのを知った大吉たちは、会員から三万円を集めて彼に渡した。“根っ子の会”の暖かい好意に感激した多可志は、皆の前で真面目に働いて返す事を誓うのだった。人生の再出発に胸をふくらませる多可志は、三万円の借金を盾に迫る岸本の手から姉を助け出し、また、ヤクザの仲間から手を切るための恐るべきリンチも甘受するのだった。万作の好意により小夜子もまた、女給をやめて万作商店に勤めた。集金係の多可志、事務員の小夜子、姉弟は懸命に働いた。
しかし岸本たちの魔手は、なおも多可志を狙って止まなかった。集金の帰途、多可志は岸本一味によってバー“ポニー”に監禁されてしまう。集金した六十万円を山分けしようと勧誘する岸本。しかし、立派に更生した多可志の決意は固かった。岸本らの暴力が多可志の顔を血に染めた。急を知った大吉や小夜子ら“根っ子の会”の面々と警官隊が駈けつける。激闘数刻、岸本一味は遂にその縛についた。華やかな秋祭り、元気一杯御輿を担ぐ若者たちの中に今は根っ子の会の一員となった多可志の明るい笑顔が揺れていた。