1960(昭和35年)/11/29公開 92分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12061
配給:東映 製作:東映
ふとした運命から三年の海賊生活を送り、三人の仲間と漂流した黒潮太郎が、不屈の闘志で生き抜いて、三つの遺志と自分の復讐に大江戸を舞台に荒れ狂う雄壮痛快な時代劇。
江戸は浅草、懐にずしりと金を持った豪快な浪人の仔細あり気な様子が遊び人・仙太の目をひいた。この浪人の名前は黒潮太郎。数ヶ月前の異常な思い出に運命を委ねようとしている。
数ヶ月前――太郎は許婚の織女に見送られ船出したのだったが、織女を狙う内藤甚吾によって海に落とされたのだ。運よく南蛮密輸の龍王丸に救われた太郎だが、嵐で舟は難破、三人の男と洋上の無人島に流れついた。やがて仲間は次々と倒れていったが、それぞれ最後の頼みを太郎に託していった。その一人である正之進は、小田原藩士の娘で二世を誓った八重に自分を諦めるように告げ、助左衛門は、江戸駒形河岸で捨てた子・民太郎を探してくれと頼み、文次郎は妹のお弓を気にかけて死んでいった。運良く通り掛った船に助けられた太郎は、島で見つけた財宝を抱えていた。三人の仲間の彼岸と憎い内藤甚吾を求める太郎は、仙太の紹介で女占い師・白蘭と会う。白蘭の占いにより勇気を得た太郎は、御用聞きの吉兵衛を訪れてお弓のことを訊ねたが、この男こそ文次郎の恨みの男だった。文次郎に質屋殺しの汚名を着せ、妹のお弓を叩き売った張本人。吉兵衛は旧悪を曝れてはとごろん棒浪人を差し向けるが、太郎は中津川京之介と名乗る武士の助太刀を受け、騒ぎの最中に白蘭がお弓であることを知る。憤然、太郎は吉兵衛を捕え、番屋に叩き込んだ。ついで小田原へ、正之進の許婚の八重を探しに出発した太郎は、品川はずれで美濃郡上藩士・西村三平が暴漢に襲われている所へいきあわせ、浦路という女にと密書を手渡される。川崎の宿で中津川京之介にばったり出会った太郎は、京之介が浦路を伴っていることを知った。密書を渡した太郎は郡上藩の内情を聞く。当主能登守が国入りした後、江戸屋敷では側室の子を擁立しようとの陰謀が企まれ、首謀者は土橋大学という側用人だという。太郎一行は早速郡上藩の刺客に狙われるが、太郎にしばしば勝負を挑んでいた不思議な浪人・五十嵐半蔵に助けられる。その途中、京之介が浦路に恋を打ち明けたところから、浦路が求める八重であることが判り、二人は結ばれる。
探し求めるはあと三人。民太郎と内藤甚吾と織女である。江戸へ戻った太郎は、不思議にもお訊ね者となったが、その黒幕は郡上藩だった。内藤甚吾は郡上藩側用人の大学になりすましていたのだ。今は浦路の縁で郡上藩士となった京之介と太郎は共通の敵を持つことになる。その京之介の身上話から、太郎は第三の訊ね人、民太郎が京之介その人と知る。大学邸を探った二人は、そこに捕われていた太郎の許婚・織女を発見する。しかし、大学を拒み続けた織女は盲目にされていた。大学に頼まれて太郎を狙っていた怪浪人・半蔵は太郎に惚れて、織女救出に一役買い、太郎は遂に織女を取り戻すことが出来た。時に、好臣を斬らんと藩主能登守が国許を発った。それを嗅ぎつけた大学らは箱根で待ち伏せる。両者激突、能登守に危機迫る時、太郎と京之介が駆けつけ壮絶な血戦が展開された。「父の命を、織女の眼を奪い、郡上五百万石を奪おうとする大悪人、天誅受けよ!」太郎、恨みの刀は大学を真二つに叩き斬った。晴れた朝、織女の手を引いて行く太郎の姿。見送る白蘭、仙太、京之介、浦路らの眼が感慨深げである。