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億万長者 

The Millionaire

1960(昭和35年)/12/13公開 65分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12096 
配給:東映 製作:東映

月給一万二千三百円の三等サラリーマンにころがり込んだ遺産が五億四千万円。金に弱いはいずこも同じ、借金亡者のお色気戦術、暴力戦術、泣き落し戦術で大変な騒ぎが巻き起こる。

億万長者 
(C)東映

ストーリー

平凡なサラリーマンの目黒駒太郎君はこのところ面白くない。月給一万二千三百円で勤めている極東貿易という会社では、モンロー商会に商品を売込んでいるが、商売敵の北米貿易という会社が積極的に食い込んで、担当の駒太郎君を弱らせているのだ。土曜日というのに課長に尻を叩かれて、同僚の唯井君と一緒にモンロー商会のロビンフッド支配人のご機嫌取りに「おてもやん」踊りに汗をかく駒井君。この時、とんでもない男を発見。駒太郎らの後をつけまわす秘密探偵の坂本という男。北米貿易から頼まれて商談まで盗聴していたのだ。早速とっちめるが、翌日の日曜日は駒太郎君がとっちめられる番。つまり、彼の住む明朗荘アパートの吉田夫人、月岡夫人にゴミ箱の無断使用で文句を言われ散々。管理人の娘で駒太郎の会社の社員食堂で働く時子が同情して映画を奢ってくれるが、金の無い青春はどうも面白くない。「宝くじでも当たんないかナ」ぼやく駒太郎君に大変な福の神が舞い込む。ヘンダーソン夫人という弁護士が訪ねてきて、駒太郎が五億四千万円の遺産相続人だというのだ。何でも彼が三つの時、おしっこをひっかけたことのある叔父さんが米国で死に、その財産が譲られることになったのだという。駒太郎君は早速このゴールデンニュースを会社の鯛子さんに告げた。鯛子さんとは彼の憧れの女性である。二人だけの秘密にしようと思ったもののヘンダーソン夫人の発表により、一躍話題の人物となった。しかし、野心のない駒太郎は億万長者になっても会社を辞めないと発表し、口うるさい社長や課長は大感激。キャバレーでも大モテで、特に雅美と夢子という女給は猛烈なお色気攻勢を展開。ほうほうの態でアパートへ帰ればまた大変。押すな押すなの訪問客。吉田夫人も月岡夫人も何時もの態度はどこかに忘れて大サービス。山のような借金申し込みを何とか断ってホッとした駒太郎君に意外な人物が「お兄さん」と飛びついてきた。菊山春次郎と名乗るその男に見覚えはないが、説明によると駒太郎君の腹違いの弟なんだそうで、なる程父親と一緒の写真も持っている。会社の金を使い込んだというので、駒太郎は突然兄貴になったことに驚きながらも金を渡してやった。うまい事は重なるもので、ロビンフッドは急に駒太郎の会社と取引することに。大喜びの極東貿易では早速祝賀会を開く。笑顔で崩れんばかりの社長の賛辞の真最中、ヘンダーソン夫人が飛び込んできた。何と遺産相続人は人違いだというのだ。さて、駒太郎を取り巻いていた笑顔は突然憎しみと軽蔑の顔に変わった。まずいことは重なるもので、ロビンフッドはインチキだった。会社は不渡手形を掴まされたのだ。駒太郎の提出した辞表を冷然と受け取る社長。アパートでは吉田夫人、月岡夫人をはじめ群集が「詐欺師!」とワメきたてる。時子親子だけに見送られ、悄然と旅に出ようとする駒太郎君に再びヘンダーソン夫人が飛びついて来た。「間違イデシタ、オ金キマシタ。」
今度こそ本当の億万長者だ。再び、社長は駒太郎を重役にするから金を貸せといい出す。吉田夫人、月岡夫人は言うに及ばず、雅美、夢子、課長たちからまたもや物凄い借金攻勢を受けた駒太郎は早速アパートを変えて一時身を隠し、鯛子との婚約に成功。だが、幸福の絶頂にある駒太郎にいつかの探偵・坂本が嫌なニュースをもたらす。鯛子には情夫がいたのだ。あれ程憧れていた鯛子が…あまりのショックに悪夢の一夜を明かした駒太郎を時子が慰めてくれた。「金持ちになって、人を見る眼がなくなった」と怨じる時子に、はっきりと駒太郎は真の恋人を見出したのだ。そんな時、弟の春次郎が訪ねてきたが、これも坂本によって泣いちっちの春坊というヨタ者で夢子のヒモということが判る。写真は首のスゲ替えだった。鬱憤晴らしに駒太郎の鉄腕が唸る。その駒太郎に吉田、月岡夫人が借金頼みに迫って来る。更にその後の高級車には極東貿易の社長と課長が三千万円の借財を背負って駒太郎を追う姿も見える。時子の手をひいて逃げる駒太郎。金ゆえの悲喜劇は終わりそうにない…。

億万長者 
(C)東映
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