1961(昭和36年)/10/14公開 91分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12468
配給:東映 製作:東映
父の潔白を信じて闘う青年と、一家の重圧の中で逞しく生きる少女。二人の間にやがて愛が芽生え…。男女の純愛、街にはびこるボス等、幾多の社会問題を描いた異色文芸大作。
昭和二十二年。ある港町の倉庫裏で殺人事件が起きた。被害者は花江という女で、当時彼女は津々己千造の情婦であった。そして千造はその日夜釣りに出かけていたという。風早茂吉という男が現場から逃げる千造を見たという証言により、千造は逮捕された。だが、千造は無実を主張し続けた。そして、事件から15年。千造の実子であった田島圭太は、生まれてからずっと父は死んだものと母に言われ続けていた。だが就職するための身辺調査で初めて父が殺人犯として投獄されていることを知り、無実を訴える父の代わりに事件の真相を知るため、港町にやってきた。この街ではまもなく行われる市長選挙を前に、宇田川造船社長の宇田川と元検事の伊原に勢力が二分されていた。圭太はまず、目撃者である風早茂吉の娘・春美に近づく。最初は茂吉から真相を聞くための手段として春美と交際を始めるが、競馬狂の父や飲んだくれの母というひどい家庭にいながらも、けなげに生きようとする姿を見て、圭太の中に愛情が芽生えてくるのだった。だが事件の真相は、市長候補達の思惑も絡んで、複雑な様相を呈していく。そして、圭太がやっとたどり着いた真相とは…?