1962(昭和37年)/4/4公開 84分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12680
配給:東映 製作:東映
尊敬し愛した父を目前で侮辱された高校生・順治が、恋人・千津を振り切って拳銃をふりかざして復讐しようとするが、父の意外な暗い面を覗き衝撃を受ける物語。当時流行した六本木族の生態等を描写している。
平手順治--高校2年生で、17才の少年。父・勝治の温かい愛情を満身に受けて、片親育ちであるにも関わらず素直に成長していた。母親は、ある事件で10年来獄窓につながれているのだが、勝治が母は死んだものと順治に思い込ませていた。この順治には、清純な恋人・島千津がおり、幸福な日々を過していた。草津健--順治とは中学時代の同級生であるが、既に“草津健とレッドペッパーズ”のバンドリーダーとして活躍している。折に触れては子供っぽい順治を引っ張り出して、遊び仲間に加えていた。また、健は大変なプレイボーイ。現に彼が演奏しているジャズ喫茶“パンチョ”には、目下の恋人で通称ヘッドの和枝やガールフレンドの村上正子などがたむろしていた。村上正子--通称“実存のマコ”で通る女子大生。フランス語を交えた理論を煙草の煙と共に吐き出してはジャズ喫茶でとぐろを巻いている人種。健の呼び出しで、パンチョにやってきた順治は、そこで正子を知り、その奔放な動作と巧みな弁舌で煙に巻かれたが、その順治の脳裏に浮ぶのは、父の愛人・みどりのことだった。美しく、優しいみどりには、順治も好意を抱いていた。しかし、そのみどりが三日前に突然死んだことを先程父から聞かされたばかりだったのだ。「何故みどりさんは死んだのだろう?あんなに元気で、楽しそうだったのに。」順治の心は、その驚きと疑惑でいっぱいだった…。