1962(昭和37年)/5/20公開 94分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12709
配給:東映 製作:東映
急斜面のせまい段々畑と絶えず嵐に見舞われる貧しい小島。瀬戸内海の佐柳島に生れ、育つ五人の娘を中心に、その厳しい、そして力強い生活と清らかな恋を格調高く歌い上げる青春力作。
荒れ狂う波濤の彼方に、黒い小さな島影が揺らいだ。瀬戸内海の佐柳島だ。怒りの海は、島の少年・三郎の父・小次郎の船を呑み、少女・早苗の父・岩吉の丹精した畑を流し尽くすと、翌日はまた静まり返って瀬戸内海特有の凪いだ美しさを見せるのだった。三郎と早苗は、多度津の学校に通う高校生で、互いに恋を感じ合っていた。船を失い借金を背負った家のために三郎は大阪に出稼ぎに出て行った。早苗の兄・義男も岩吉の反対を振り切り、新しい人生を求めて神戸へ去っていった。その日から早苗は高校を中退し、倒れた岩吉に代わって郵便の集配の仕事を受け継いだ。翌年の春、突然、神戸の義夫から病気の知らせが届き、早苗は神戸に赴き義夫に島に帰るように説得したが、義夫は耳を貸さない。義夫は道江という若い女と同棲していた。重い足を引きずるように神戸から大阪へと向かった早苗は、そこで三郎がキャバレーで働いていることを知った。すっかり変わった三郎は早苗を安宿へと誘ったが、早苗はみじめに拒んだ。また、春が来て義夫は死に、遺骨となって島に帰ってきた。岩吉は義夫の子供を引き取り、立派に育てることを約束した。そんな折、ヤクザと成り果て刑事に追われる三郎が島に帰ってきた。「捕まる前にどうしても君に会いたかった」激しく抱擁しあう三郎と早苗。二人はサンパンで島の裏側の絶壁に逃れた。「自首して」と早苗は必死に三郎を説き伏せる。そこに警察船がやってきた…。