1963(昭和38年)/9/29公開 84分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:13321
配給:東映 製作:東映
捨て子で盲目と不幸な星の下に生まれた侠客・めくら狼が、華やかな明治の世に背を向け、薄幸の美少女を助けて、義理と人情のドスを振る明治仁侠篇。
文明開化の時代でも、幸薄い人はいる。捨て子で盲目というハンデを背負う捨五郎は、仲間から「めくら狼」と恐れられる盲目の侠客となっていた。幼い頃に三味線の名人・野沢六左衛門に拾われ、その芸を引き継いだ捨五郎は大阪でも人気の的で、六左衛門の一人娘・お春と将来を誓い合っていたのだが、お春が軍人の元に嫁ぐ事になり、師匠の下を去った捨五郎は泥沼の世界に沈んでいく。ある夜、父親の博打の質代わりに地回りの遠州屋に連れ去られそうになっている娘・志乃を救い、遠州屋に追われる身となった捨五郎は、家出した母親を探す志乃に同行して大阪に向う。似たような境遇から惹かれあう二人。だがその旅は惨めなものであった。大阪の地で二人は侮蔑され、捨五郎は茶屋の三味線で騒ぎまくり、大伝一家の身内と乱闘になりかけるが、その場を救ったのはかつての弟弟子で今は大人気の義太夫・武本菊之助であった。菊之助の計らいで長屋に住む事になり、人々の善意を受けた捨五郎と志乃は、貧しくも初めての幸せな日々を過ごす。母の悲惨な末路を聞いても耐えた志乃をひとり立ちできるようにと、かつての師匠のもとにむかった捨五郎は、図らずもお春に遭遇、夫の横柄さにカッとして手を出してしまい、警察に捕まってしまう。迎えに来たのは志乃と大伝一家の身内・天神。そして遠州屋と志乃の父も現れた。捨五郎は自分の身を大伝一家に預けると、志乃が六左衛門に弟子入りするよう取り計らうのだった。