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鮫 

The Shark

1964(昭和39年)/6/27公開 165分 カラー シネマスコープ 映倫番号:13508 成人映画
配給:東映 製作:東映

流民の子に生まれた少年・サメが、世の中の厳しい現実にぶつかり、生きる為に鍛えあげた力で悪の世界を突っ走るが、力だけでは現世を乗りきれないことを悟る。“悪”をテーマとする非情鮮烈な人間ドラマ。

鮫 
(C)東映

ストーリー

越前海岸の或る村に父無し子として生れ育った少年・サメは、鮫を獲って母子二人の貧しい生活を送っていた。しかし、土一揆のあおりをくって母と死別したサメは、憧れの京へ旅に出た。最初に手を引いてくれた鋳物師の老人は、大飢饉のため途中で餓死してしまい、道案内を失ったサメは、ひもじさに耐えられず人肉を食べ、女の欲望をむき出しにした三十女に連れられて京へたどり着いた。応仁の乱以後の混乱で巷には難民があふれ死臭が漂う京で、隻腕の盗賊・四郎左に拾われたサメはやっと食物にありつくことができた。「生きる為には何をやっても構わぬ」四郎左の言葉は少年サメの心に強く響いた。窃盗傷害、殺人とサメは男に成長していくが、次第に指導者としての四郎左に憎悪と反感を抱き、ついに四郎左を殺してしまう。自信を持ったサメは侍を志し合戦に加わるが、下賤の出身で誰からも相手にされないと知ると、戦場で知り合った筑紫の源次らと徒党を組み京へ戻って掠奪を始めた。源次のやり方は四郎左以上に残忍であった。分限者や貴族を専門に狙い、女の肌を奪って殺す衝動的な野獣の暴虐だった。或る夜、尼寺を襲ったサメは若い尼僧の夜目にも白い裸身に哄笑を浴びせた。だが尼僧の成行きを待つが如く静かな面差しの異様な美しさに、今迄一度も体験しない恐ろしさを感じた。貧しさゆえに刀で生きようとしたサメの心に、見玉尼と名乗る仏尼は、美しい人間の心をよみがえらせたのだ。

鮫 
(C)東映
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