1966(昭和41年)/2/17公開 90分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:14337 成人映画
配給:東映 製作:東映
明治末期の待合“立花”を舞台に、娼婦と旗本くずれの掏模との恋葛藤を描いた永井荷風原作「四畳半襖の下張」の映画化作品。荷風好みの淪落の女性像を浮彫りにし、美しくも妖しい独特の耽美世界が展開される。
明治末期の待合“立花”。その四畳半に、抱え娼婦しのがいた。今日の客は、旗本の家柄に生まれながらもスリに落ちぶれてしまった男・糺であった。しのには、竜吉という情夫がいた。しのを“立花”に売り、自分は車夫となってしのの客を運んでいる男である。この日、糺は、しのに紙入れを贈った。それは、竜吉がしのから巻き上げ、糺が竜吉からスリ取ったものだったが、しのはその事実を黙っていた。一夜の情をかわすだけの男の親切が嬉しく心に染みたからだ。竜吉に隠れて逢瀬を重ねる二人。しのは糺に尽し、そのひたむきな心にうたれた糺は、スリを止め、印刷工としてまじめに働きだした。竜吉は、しのと糺の間を裂こうとするが、別れ話は意外にも糺の口から出た。家柄を買われて養子に行くという。糺を愛し抜いていたしのは、日陰の女でいることを決意する。そんなしのの心を知った竜吉は、自分と朝鮮に行かねば糺をスリとして直訴するとしのを脅す。その時、密告を恐れた糺が竜吉を刺してしまった…。