現代の身動きならない社会の重圧に歪められた人間性と道徳を追究し、一人の凡庸なサラリーマンが選んだ悪徳と愉楽の世界の悲劇を描き、現代人の不安と現実の汚濁を抉り出した社会派ドラマ。
お江戸はびっくり長屋の粗忽連中に突如降りかかった不測の珍事件。好色旗本のご乱行が過ぎるばかりに、八百八丁の深夜に罷り出た呪いの怪猫をめぐり、青息吐息の腰抜け珍騒動、失敗続きの恋の逢引き、涙に濡れる幼・・・
国鉄本庁厚生局勤務俸給三十六号俸の主人公・目白三平が再び登場するサラリーマンの物語。日常に起るペーソスとユーモアの中に豊かなヒューマニズムを夢と希望に托して謳い上げる現代劇。