定評のある東映の名物シリーズ、警視庁物語の第二十三話。育ての子に、自分への愛を裏切られたくない母の悲劇を中心に、社会の片隅に虐げられた人々を捜査の焦点において、刑事たちの活躍を描く。
舞台は京都の祇園と宮川町。金のためなら他人の男でも平気で奪うドライ芸者・君蝶が、四人の男を手玉にとる凄腕ぶりを村山新次監督がねっとりとした描写し、匂うばかりの風俗の中に女の欲望を浮き彫りにしている。
自由なる魂の持ち主、川上安子が変転_りなき現代世相の中に、勧善と生き抜く姿を通して永遠なる命の尊厳を_う女性映画の最高作で現代の苦悩に幾多の課題を投げる激情の文芸巨編である。