1964(昭和39年)/2/23公開 58分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:13380
配給:東映 製作:東映
定評のある東映の名物シリーズ、警視庁物語の第二十三話。育ての子に、自分への愛を裏切られたくない母の悲劇を中心に、社会の片隅に虐げられた人々を捜査の焦点において、刑事たちの活躍を描く。
東京ゼロメートルと呼ばれる低地帯のドブ川から、行李詰めの変死体が発見された。捜査本部は所持品からガイ者はノミ屋であると判断し、その身元割り出しに乗り出した。場外馬券売場をシラミつぶしに当たった林刑事らは、ガイ者が坂井源三郎というノミ屋で、借金取立ての厳しさでは最右翼だったことを聞き出した。更に靴磨きの木下は坂井に借金のカタに鑑札を取り上げられ、坂井を怨んでいたことを突き止めた。北川刑事が木下を問い詰めると木下はあっさり坂井殺しを自供した。しかし、なんと木下はブタ箱に入ればタダ飯を食えるという単純な考えから嘘の自供をしたのだった。とんだ人騒がせに躍起になる捜査本部に、朗報がもたらされた。坂井は満州からの引揚者で、帰国後は満州当時内縁の妻にしており、今は別れた川井里江の家に時々顔を出していたとのことだった。現在、里江は競輪の写真判定場に働く娘の久美子と二人暮しだった。久美子は坂井については何も聞いておらず、時々里江のもとへ訪れる坂井に不純なものを感じ家を飛び出していた。娘の家出に仰天した里江は警察に出頭して坂井殺しを自供したのだ。久美子は実の娘ではなく、空襲で親を失った子を拾い育てた娘だった。坂井はそれを知って里江を脅し、小金をせびっていたのである。ある夜、里江は財布を取ろうとした坂井ともみ合っているうちに、足の不自由な坂井は転び、頭を打って死んだのであった。
「警視庁物語」シリーズ(24)