1959(昭和34年)/1/14公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
椎名利夫の脚本を穂積利昌が監督した青春喜劇。撮影は西川亨。音楽は万城目正。桑野みゆき、杉浦直樹に、瞳麗子、小坂一也らが出演。
中村安夫は関東大学の剛球投手だ。卒業も近いから、プロ球団が盛んに誘いに来る。母親と姉夫婦はその契約金をめぐって対立していた。安夫の下級生、薬局の一人娘の司令子は、彼が見世物のプロに入るよりも、平凡なサラリーマンになってもらいたいと願っていた。安夫の下宿のおばさんの姪、和子は理髪店に勤めており、安夫の面倒を何かとみたがる。現実派の和子はプロ入りをすすめていた。安夫は卒業論文に苦しんでいたが、応援団長の春日や、田宮・中西・豊田らもこればかりはどうしようもない。令子の店の実直な店員・松吉は独学だが、相当な学力がある。令子は安夫を救うため、松吉に卒論を代作させ、無断で学校へ提出してしまった。即刻、バレて安夫が呼びつけられた。スポーツ紙が卒論不正事件と騒ぎたてた。令子の行為が安夫にかえって仇となった。安夫は自分から野球部除名処分を願い出て信州の家実へ帰ってしまった。令子に縁談があり、婚約したと聞いたのも原因だろう。縁談の相手は同級の中西である。経営不振の令子の店を、大阪の取引先の製薬会社が救った。中西はその社長の息子なのだ。松吉がそれを和子に話し、安夫に伝わったのだ。令子は親のいいなりになるつもりはなかったのだが。松吉は令子のために信州へ行き、安夫の誤解を解こうとした。が、すでに安夫は退学届を出し、プロ野球と契約していた。安夫は向学心に燃える松吉に学費を出すことを約した。更に令子の店に一千万円の小切手を贈った。