1961(昭和36年)/12/7公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
前作、「めぐり逢う日まで」“純白の巻”についで後篇“真紅の巻”。スタッフも前作と同じメンバー。
淡路島から四国の鳴門へ廻った梨枝は、そこで偶然にも杉と再会した。杉は丹羽病院長の友人で、鳴門に住む江崎博士を訪ねて来ていた。副院長を中心に病院乗っ取りの策動があり、杉では処理し切れず博士に相談に来ていたのだ。その杉を追って康子も来ていた。梨枝は何となく悲しい気持ちで帰京した。東京では節子の離婚話が持ち上っていた。夫が稲垣との間を疑ったためである。その稲垣から、冴子はバーの資金として200万円を引き出していた。梨枝も写真家中村夫人の嫉妬から、旅行雑誌社に所属を変えなければならなくなった。こうした中で、梨枝は病院の方が一段落して上京した杉と、変わらぬ愛を誓いあった。杉は再び大阪へ呼び戻された。久保達がまた不穏な動きを見せ始めたからである。昔の不良仲間から遠ざけるため杉は、晃を伴って大阪へいった。久保達は、久保の女でバーのマダムをしている染子を使い、杉を籠絡しようとした。だが、染子は杉の人格にうたれ、自分の非をさとって杉への協力を約した。やがて、杉の活躍と染子の協力で乗っ取り事件は無事解決した。それは事件解決を早くするため、院長が杉と康子との婚約を形式的に発表したためである。院長の懇望によって久保達をあざむくための苦肉の策だった。事情を知らない晃は、これを事実と思い帰京してしまった。梨枝は始め否定したものの、晃の言葉を信じた。その梨枝に中村が求婚してきた。中村は夫人と離婚していた。たまたま、横山の家も冴子のバーも節子が思うようにならないので怒った稲垣のために差押さえられていたので、冴子は金のある中村との結婚を主張した。しかも、大阪から帰った杉に、冴子は梨枝が中村との結婚を決意したと語り、梨枝に逢わせようともしなかった…。