1964(昭和39年)/12/12公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
菅野昭彦と小林久三が共同でシナリオを執筆、番匠義彰が監督した青春もの。撮影は厚田雄春が担当している。
浅草の六区でのれんを誇る天ぷら屋「天勝」は、看板娘鮎子が、采配を振っていた。父の金助は会合好き、兄の宏は、大学よりも落語に夢中。そこで、鮎子が自然板前の金さん、見習の三津田明と店をきりもりするはめになったのだ。ある日、晴着姿で明と一緒に観音様にお参りに行った鮎子は、貿易会社の青年社長遠藤一郎が運転する乗用車に泥をはねられ、くってかかった。数時間後、ガソリンスタンドを経営する仁木哲也に誘われた一郎は、鮎子の店に入って来た。思わずはっとした二人だが、哲也の紹介も終わらぬ間に、鮎子はふくれてしまった。一方金助は、明の母伊沙子が働いている小料理屋芳村に、せっせと通っていた。もちろん目当ては伊沙子だが、一郎の父の道平も、伊沙子に店を持たせようと言いより、二人は犬猿の仲となった。宏は、社長が落語づきと聞いて、勇んで出かけた入社試験に失敗して、やむなく店の手伝いをすることになった。そんなある日、明の幼友達の千恵子こと、チコが家庭の事情から田舎に帰ることになった。鮎子の好意で、故郷に帰った明は、チコの実家を訪ね、チコの母たねからチコが、宇都宮に養女に行くことになったと聞かされ、落胆して、東京に帰った。わけを聞いた伊沙子は、二人だけの店を持とうと励ますのだった。その頃宏は、天ぷら屋の修業に渡米することが決まり、有頂天であった。数日後、哲也は昔の恩人秋田玩具の社長秋田米造を訪ね、娘ナナ子から、秋田玩具が倒産寸前であり、玩具発明家小泉のリモコンカーのパテントが手に入らなければ倒れると聞かされた・・・。