1966(昭和41年)/11/26公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
柳井隆雄と桜井義久、森崎東の三人が共同でシナリオを執筆、野村芳太郎が監督したメロドラマ。撮影は川又昂が担当している。
グラフィック・デザイナーの岡田健は、洋裁店に勤める恋人の伊藤和江に見送られ、京都に向う超特急の中で、以前彼が業界誌に発表したデザインの着物を着ている美しい高森綾子に魅せられた。綾子は京都では老舗の西陣の織元の娘であった。デザインを盗用された健が版権料を請求に綾子の父仙造を訪ねると、思いの外恐縮した仙造は謝罪した上に、今後の着物と帯のデザインを健に依頼した。帰京後健は和江と逢った。和江は友人のまり子と一緒に健と同じアパートに住んでいて、二人は夫婦同様の生活をしていたが、和江は飲んだくれの父寅夫のことを考えると、健との結婚にも踏みきれなかった。和江は健のスケッチブックの中の美人を見て何故か気になった。再び仕事で京都を訪れた健は、そこで仙造の死と綾子と信用金庫の理事・中川信行との婚約を知り、淋しい気持で帰京した。しかし数日後健は、親類の川崎幸雄や芳子の家に遊びに来ていた綾子と妹みどりの訪問を受けて驚いた。再会して健と楽しいひと時を過ごした綾子は、急速に健に惹かれていくのをどうしようもなかった。一方和江は父親に最後の願いだからと多額の金を頼まれ、それを元に父さえ遠くへ行ってくれたら健との結婚も早く出来ると思い、店の金を渡してしまうが、同僚から健が綾子と逢っているのを聞いて、深い悲しみに沈むのだった・・・。