1971(昭和46年)/4/28公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
義理と人情に生きる男、「為五郎」シリーズ第4作。脚本は前作加藤泰と、監督の野村芳太郎。撮影は川又昂がそれぞれ担当している。
坂東為五郎は、とある刑務所から颯爽と出所した。だが、別にどこへ行くともあてのない旅鴉の彼は、尊敬する仁吉の墓参りのため吉良港に向った。墓参りのあと、仁吉の末裔である、現在の仁吉の妻おきくの優しいねぎらいの言葉と餞別をもらって、彼はすっかり感激してしまった。そして心ウキウキ荒神山へと急いだ。その頃、山のふもとの加佐登町では、バスジャックで大騒ぎの真最中だった。バスを乗っ取った若者は、町長安濃徳右衛門の妾の娘さゆりと結婚できないのをうらみ、さゆりと乗客たちを人質にしていた。為五郎は、荒神山へ避難する町民に混ざっていた旅館黒田屋の主人神戸長吉と再会した。二人は刑務所時代の朋友で、長吉の妻徳子はさゆりと腹違いの姉妹である。為五郎は、長吉からさゆりの危難を聞かされるや、停車していたダンプカーを駆ってバスに一直線、犯人をとり押えた。その夜、事件解決の大宴会が行なわれ、席上、得意満面の為五郎に、さゆりのキッスの雨が降った。数日後、為五郎とさゆりは仁吉の墓の前で結婚した。その夜、二人が風呂の蛇口をひねると熱湯がほとばしりでて大騒ぎとなった。長吉は、早くもこの温泉で一旗揚げ、かつて荒神山の喧嘩で卑怯者といわれた先祖の汚名をそそぐつもりだった。一方、楽しいはずの新婚旅行にでたさゆりは、日を重ねるにつれて腹が立ってきた・・・。