1983(昭和58年)/10/22公開 136分 カラー
配給:松竹 製作:松竹 / 霧プロ
次期政権を狙う首相候補のもくろみが、夫人から秘書に宛てたラブレターによって崩れていくさまを、謎の死をからませ権力に群がる人間たちを介在させて描いたストーリー。松本清張原作の同名小説の映画化で、脚本は古田求と、本作品で監督も兼ねている野村芳太郎による共同執筆。撮影を川又昂がそれぞれ担当している。
政権を握る改憲党内第二派閥領袖・寺西正毅は、現首相、桂重信から政権の禅譲を受け、この秋に首相の座に就くであろうことは衆目の一致するところであった。寺西を裏で支えているのは、夫人である文子と秘書の外浦卓郎である。外浦は財界の世話役である和久宏に、寺西派とのパイプ役として送りこまれ、四年前から寺西の私設秘書となっていた。寺西邸から政治献金のバックペイの金を、和久のもとへ届ける使者として立てられた銀座のクラブ「オリベ」のママ・織部里子が、その金を奪われるという事故を起こした時、警察に手を回して闇から闇に葬ったのも外浦の力であった。前首相・入江宏文が急死し、政局は秋の総裁選に向け、俄かに動き始める。桂がひき続き政権を担当する意思を見せたのを受けて、外浦と和久、そして和久に囲われている里子は京都へ飛び、関西財界の有力者、望月稲右衛門から二十億の融資を引き出した。第三派閥板倉派抱き込みのための工作資金である。桂派と寺西派になる政権争いが、日ごと激しさを増すなか、外浦が和久の経営する東南アジアの会社に招かれてとの理由で突然辞意を表明した。出発間際東大の後輩にあたり、政治家相手の代筆業をしている土井伸行を訪ねた外浦は、土井に個人名義の貸金庫の管理を依頼し、自分にもしものことがあったら、中身は自由に使えと告げるのだった。そして外浦が外地で自動車事故死した・・・