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徳川一族の直系ながら、寒冷の僻地に押し込められた会津松平藩では凶作が相次ぎ、百姓一揆が絶えなかった。一方、薩摩や長州など西南諸藩は幕府に対する忠誠心に欠け、特に長州藩は討幕を企てる有様で、藩士・桂小五郎は討幕の勅命を得ようと、宮廷随一の野心家の公卿・中山忠光に接近していた。忠光の妹薫子は時の孝明帝との間に祐宮、のちの明治天皇を生んでいた。忠光の働きで、討幕のための薩長同盟が結成された慶応二年七月、十四代将軍家茂が病死。謹慎中の一橋慶喜が十五代将軍に即位した。慶喜はまず、京洛の浪士取締り、御所警固の目的で京都守護職を設けた。会津藩当主容保は、薩長の討幕挙兵の陰謀を取り抑えるため、朝彦親王、獅子王院宮を味方に引き入れる。逆賊長州を討てという孝明帝の勅命により、薩長同盟は分裂、惨敗を喫した。左幕派の帝は密かに次期天皇を院宮と内定するが、忠光の父で自分の孫・祐宮がはずされたことを知り逆上した中山忠能は、桂と組み孝明帝暗殺を図り、天皇は祐宮に決定する。天皇を取り戻した薩長は、これを契機に討幕への道を突っ走り、形勢不利とみた院宮も容保を裏切り忠能に取り入った。そのため、宮廷内は討幕派の天下と化すに至った。慶応三年十月、徳川慶喜は大政を奉還。容保とひとり生き残った四男於蒐四郎は御所めがけ、馬を進めた。その二人を会津藩士が待ち受けていた…。

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