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Kura

1995(平成7年)/10/10公開 130分 カラー ビスタ 映倫番号:114386 
配給:東映 製作:東映 / 松プロダクション

雪深い新潟、亀田。その厳しい自然と苛酷な運命に抗して闘う、この地代々の旧家にして蔵元である田乃内家の20年に及ぶ変転と家族愛を、一人娘の烈の成長を軸に格調高く描いた文芸大作。
原作は本作が7作目の映画化となる宮尾登美子。

藏
(C)東映・松プロダクション

ストーリー

大正8年、吹雪の荒れ狂う一月の夜更け、田乃内家に産まれた女の子を当主の意造は“烈”と名づけた。意造は新潟県亀田町の地主で、清酒「冬麗」の蔵元二代目。妻の賀穂と結婚して14年になるが、これまで子宝に恵まれなかった。女の子に似合わぬ“烈”という名には、何にもまして逞しく生きて欲しいという親の祈りがこめられていた。
病弱な賀穂に代わって、烈の養育は賀歩の妹・佐穂に委ねられる。佐穂は婚期を逸して実家に留まっていたが、賀穂の強い希望で田乃内家に来たのだった。佐穂の世話で、烈は成長する。ところが、小学校入学直前、思いもかけなかっら災厄にみまわれる。夜盲症-それは、いずれ失明に至る不治の病であった。意造はあらゆる治療を試みたが効果はなかった。幼い烈は、視力を失っていく不安と絶望の中で小学校入学を拒否するようになる。もはや神仏にすがるしかないと決心した賀穂は、越後三十三カ所札所の巡礼に出る。だが途中で倒れ、烈の先行きを案じながら息を引き取った。
母の死で、烈はますます佐穂を頼りにするようになる。佐穂も烈を可愛がり、少しでも目の見えるうちにと、文字を教え、折り紙を教え、裁縫を教えるのだった。そんな折、意造は二十歳以上も歳の若い芸妓・せきと後添えにする。誰もが再婚の相手は佐穂だと思っていたし、佐穂も意造に好意を寄せ、烈と三人で新しい家庭を営もうとしていた。しかし、意造は若い後妻になんとしても自分の跡継ぎを産ませるのだと周囲の反対を押し切って、せきを屋敷に入れた。身の置き所がなくなった佐穂は、田乃内家を出た。烈は必死で追いかけて佐穂を引きとめた。
意造のせきの間に待望の男子が生まれた。せきに対しては反抗的な烈も、弟・丈一郎には優しかった。だが、幼い丈一郎は突然事故で死んでしまう。あまりの衝撃に意造は脳卒中で倒れ、寝たきりに。そして「冬麗」を閉めると言い出した。烈は「あの蔵を烈に下さい。烈がお酒造りをしてみせます」と意造にせまる。しかし、意造は酒造りは女の仕事ではないと言って聞き入れない。だが、烈は女の蔵元第一号になれる自信はあった。烈は闇の世界から飛びだそうとしていた。
そして、待望の蔵開き。そこに晋が連れてきた蔵人の中に、昔馴染みの釜屋の涼太もいた。この前まで見習いだったが、今は一人前の蔵人に。烈は涼太をつかまえては、質問を浴びせた。やがて、その年の酒造りも終わり、別れの宴の夜が来た。涼太が得意の「米とぎ唄」を歌った。それを聞く烈は涼太との別れがせつなかった。
年が開け、烈は18歳になった。何も言わずに帰っていった涼太への想いを打ち明けられるのは佐穂しかいない。佐穂は烈の想いを意造に伝える。意造は家柄の差、学歴のない涼太の身分にこだわり反対する。烈は激しく反抗し、吹雪の中家を出た「烈は、本気らすけ」
佐穂は晋を訪ね、涼太の身元性格を詳しく聞いた。聞いていて佐穂は心地よい風が吹き抜けるような思いになり、そのまま意造に報告した。意造はその話に胸を衝かれ、烈がここまで成長したものだという安堵感もあった。そして改めて佐穂の存在の大切さに気づき、共に生きることを決心するのだった。

藏
(C)東映・松プロダクション

受賞歴

第19回日本アカデミー賞(最優秀主演女優賞)

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