1948(昭和23年)/9/6公開 80分 モノクロ スタンダード
配給:大映 製作:東横映画
キチンと並んだトンチンカンチーム。スタンドの埃に誇りを賭けて活躍する夫婦組。誰にも親しめる野球狂決定版。
日本に野球というスポーツがやってきた頃に活躍した父親を見てきたからか、息子の六さんも大の野球狂で、美容院の経営を女房に任せて、近所のオヤジたちと毎日キャッチボールばかりしている。そのわりに野球の技術はいたって下手くそ。しかし小学五年生になる六さんの息子は、長屋の少年野球団で投手として大活躍しているから、六さんは息子に大きな期待をかけている。だが六さんの女房は働きもせず下手の横好きで野球にかまける六さんに対して、遂に堪忍袋の緒が切れた。六さんは仕方なく就職先を探すのだが、突然周囲の皆に職業野球団「急映」の選手となったと報告し始めた。奥さんたちもお客たちを引き連れ後楽園に旦那の活躍を観に行こうとするのだが、実は六さんの仕事は場内の雑役夫だったのだ。とんだ赤っ恥をかいた奥さんだったが、六さんの父親がのこした「野球のフェアプレイの精神こそ、将来の日本を救うものである」という遺言を此処まで守って野球に打ち込むその純粋さに少しホロリとするのだった…。