1955(昭和30年)/2/27公開 94分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1412
配給:東映 製作:東映
戦争中に大陸に渡り、戦後、帰国してからは病いを得て長い間映画界から姿を消していた内田吐夢監督の再起第1回作品である。東海道を行く人々の織りなすエピソードを描きつつ、片岡千恵蔵演じる槍持ち権八が主人の仇を討つ物語。企画に溝口健二、小津安二郎、伊藤大輔ら日本映画界の巨匠が協力した記念すべき名作。
酒匂小十郎の槍持ち権八にお供の源太を加えた三人は、のどかな東海道を江戸に向かって旅をしている。小十郎は若く、気立ての良い殿様だが、ただ一つの欠点は酒好きで酒乱であること。源太も酒飲みなので権八は気が気でない。この主従を中心に、街道は小間物商人、身売りされる娘・おたねと老爺・あんま藪の市、旅芸人のおすみ母子、挙動のあやしい藤三郎、それに大泥棒や浮浪児などが後になり先になりの道中。川止めの大井川の宿で泥棒騒ぎが起こり、権八がそれを捕える大手柄を立てたり、様々な泣き笑いが繰り広げられ、小十郎も赤裸々な人間世間に目を開く。だが、源太と供につい居酒屋に足を入れたのが悲劇のもと。酔いどれ侍と争い無惨な最期を遂げた。権八は主人の仇を討つべく槍を手に踊りこんだ…。