1955(昭和30年)/7/30公開 97分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1841
配給:東映 製作:東映
村上元三原作による悲劇の若武者・源義経の歴史絵巻を、源義経に中村錦之助、武蔵坊弁慶に月形龍之介を配し豪華絢爛、波乱多彩に描くロマン巨編。
承安四年。牛若丸は鞍馬山蓮忍の仏門下にあって、平家全盛の世を忍んでいた。牛若の母・常盤は、牛若ら亡き義朝の遺児三人の命代わりに、平家の門閥に身を下し、一乗大蔵卿の妻として京にいた。太刀筋に威風をそなえる牛若だが、母を偲び悶えるまだ若き年でもある。そんな牛若を慕うのは、うつぼという里の乙女。もとは源氏の一族の忘れ形見だが、兄の三郎は正門坊と偽って平家の手先に成り下がり、与八昌営らとともに牛若を襲撃するが、牛若はこれを撃退する。さて、京では平教経の横暴によって新宮の領を追われた熊野別当湛宗の訴訟を巡り、叡口西塔の山法師達と平家一門の間に殺伐な対立の溝があった。教経を操り、更に与八を使って牛若を狙った張本人は、平忠盛であった。その忠盛の腹中を察した奥州下泉の豪商・金売り吉次は、忠盛の怒りが牛若に及ぶのを危惧し、覚日律師を説いて牛若を奥州に迎え入れることを画策し始めたが、牛若自身は無益な殺生を嫌い、仏門を去ろうとはしなかった。だがある日、鞍馬山を下りた牛若丸を追いかけたうつぼが、平の教経と弁慶ら山法師達の騒乱に巻き込まれ、教経の鞭に打たれたのを見た牛若は思わず教経を打ち据えるのだが、この件が平清盛の耳に達し、牛若の身に危機が迫り始めた。やがて母との別れの帰り、五条大橋で牛若は偶然弁慶と対峙する…。