1955(昭和30年)/11/29公開 89分 モノクロ スタンダード 映倫番号:2011
配給:東映 製作:東映
直木賞作家・有馬頼義の短編小説「現行犯」を映画化。罪無き一市民が、ただ一つの秘密のために殺人の嫌疑を受け、自ら墓穴を掘って滅びゆく異常な物語の中に、現代を支配する恐怖の心理を描き出した異色作。
東京・上野のバーで殺人事件が発生。バーテンが殺され、売上金10万円が消えていた。事件の翌日、現場付近で警官が挙動不審な男を尋問しようとしたところ、男は逃走。警察はその男、神在清悟を重要参考人として緊急手配した。その夜、清悟の懐には確かに10万円があった。それは事件で得た金ではなかったのだが、その金と一緒に背負わされた秘密のために、彼は思わず逃げてしまったのだ。清悟はそのまま昔の情婦・房子のいる呑み屋へ向かう。広島から東京に出てきて就職したが、すぐに太平洋戦争で召集され、原爆で実家も失い、東京に戻ってきても日雇いの不定職を渡り歩くしかなかった清悟にとって、今は房子が頼りだった。岩手の戦友・柴のもとを訪ねるといって房子の元を去ったものの厳しい捜査網に怯え、房子の家に出戻ってしまう。そして清悟は房子に10万円の真実を語る。その金はかつての婚約者・澪からもらったものだったのだ…。