1956(昭和31年)/1/8公開 107分 モノクロ スタンダード 映倫番号:2020
配給:東映 製作:東映
歴史に有名な黒田騒動に、その人ありと後世に伝えられる栗山大膳の苦哀誠実、豪胆等の人間性と、壮大な時代の背景に潜む愛欲陰謀を描く。
家康がこの世を去って十数年。幕府は外様大名の取り潰し政策を強行しつつあった。いまや外様大名と切支丹の動きが幕府安泰の妨げになりつつあったからだ。外様大名の雄である筑前藩五十二万石を治める黒田長政は幕府の政策を慮って、猛々しい気性の嫡子・忠之の廃嫡を決意する。だが忠之を慕う若侍たちは一同殉死の決意をし連判状をもって長政に訴願、城代家老・栗山大膳の熱誠もあって長政も翻意、大膳に忠之のことを託す。そして忠之は当主となり初のお国入り。軽輩ゆえ殉死連判に加えられず悲嘆にくれていた倉橋十太夫はその姿に感涙、そんな十太夫の姿が忠之の心に強く響いた。ある日、鷹狩りに出かけた忠之は一人の娘と遭遇した。猟師・弥次兵衛の娘・お秀の美しい姿に惚れた忠之は娘を城中に迎え、お秀の方として寵愛する。弥次兵衛も士分に取り立てる一方、十太夫の勧めで二百人の足軽隊を組織、鉄砲や大砲の訓練をさせるなど軍備を増やしていった。この事態を憂慮し、大膳は忠之を諌めるが忠之は馬耳東風だった。そしてどんたくの夜、切支丹の幹部との会見を十太夫に発見されたお秀の方は、十太夫を誘惑し味方に引き入れてしまった。お秀の方の甘言で忠之は禁制の軍船建造に着手。これを知った幕府隠密の動きも活発になってきた。一方で軍船調達の為に年賦金の倍額取立てや人夫の使役などにより領民の怨嗟の声も高まっていく。大膳は決然として長崎を発つが…。