1956(昭和31年)/10/2公開 61分 モノクロ スタンダード 映倫番号:2454
配給:東映 製作:東映
戦犯として中国に抑留されている父を求め、病める母の代わりにはるばる海を渡り面会に行った薄幸の少女とそれをめぐる人々の善意を、実話に基づき映画化したヒューマンドラマ。
3歳になったばかりのえりちゃんと母の咲子が、未決囚である父・周太郎を残して引き揚げてきたのは昭和28年夏のこと。母の身寄りの九州の農村で、えりちゃんたちは叔父の根本の家に厄介になっていた。貧しい暮らしを見かねた咲子は、雑貨の行商や野良仕事など、朝な夕なと働き続けて無理を重ねたため、遂に病に伏してしまう。病名は脳軟化症で、次第に目が見えなくなるというのだ。そんな時、中国に残された父の刑期が13年であることが知らされる。ただひとり、えりちゃんはすくすくと育ち6歳になった。ある日、回復の見込がつかない咲子のもとに、留守家族団体全国協議会から、中国抑留者に対する面会のための渡航許可が知らされてきた。夫に会いたいが重病で動けない自分に代わって、咲子は思案の末、えりちゃんに一人で父親に会いに行ってもらうことを決意する。だが貧しく、集合場所である東京に行く費用もない。しかも出発日は明日だという。そのことを知ったバスガールの千代子が友達である日本航空のスチュワーデスに相談したことから、えりちゃんを東京へ送る運動が始まった。運動は愛の翼として大きく広がり、お父さんの似顔絵を抱いたえりちゃんは海を渡った…。