1957(昭和32年)/6/25公開 53分 モノクロ スタンダード 映倫番号:10127
配給:東映 製作:東映
夜霧に濡れる港町に現われた船員が苦境の姉妹を救い、悪ボスに正義の鉄腕をふるって、一度は捨てた恋を結ぶ。藤島恒夫のメロデイで包むマドロス篇。
灰色のヴェールのような夜霧が海面低く流れるとある北陸の小港に一人の男が降り立った。皮ジャンを着た海の男らしいひきしまった顔、沖健介である。健介は桟橋で身投げと見間違えて一人の女を背後から抱きすくめた。その女はバー「紅ばら」で働いている夏子である。夏子は同僚たちにいじめられ、金持ちの恋人がいると嘘をついてしまい思案に暮れていたのだ。夏子は健介に今宵一夜、かりそめの恋人になって「紅ばら」に来てくれる様に頼む。夏子の計画は功を奏し、健介は芝居っ気たっぷり夏子にプレゼントを渡すといった具合に、同僚の鼻を明かすことができた。夏子は病気がちな姉の春江の面倒を見ていた。春江の病状が悪化し、転地療養が必要になり借金に奔走する夏子に、港のボス黒崎は気前よくポンと大枚の金を投げ出したが、その裏には夏子の肉体を狙う悪魔の微笑みが隠されていたのだ。そこに立ちはだかったのは健介で、健介と黒崎は6年ぶりの再会に目を見張った。健介は貯めていた金を夏子に渡した。夏子は健介を家に誘うが、健介は痛々しく病床に伏したかつての恋人・春江を目の前にして愕然とした。健介は春江に前非を悔い、深く頭をたれる。夏子はそんな健介に憤慨し、借りたばかりの金をつき返すのだった。そんな中、健介は黒崎から呼び出された。黒崎は自分の悪事を知り尽くしている健介を殺そうとしていたのだが・・・