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警視庁物語 十五才の女

Police Precinct Pt.16

1961(昭和36年)/2/1公開 63分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12101 
配給:東映 製作:東映

荒川の湖畔に発見された少女の死体。そこから端を発したこの事件は意外な方向に発展。社会福祉の名に隠れた大人達の醜行が、お馴染み七人の刑事によって暴かれる。

警視庁物語 十五才の女
(C)東映

ストーリー

武蔵野の面影漂う多摩川の水門に、少女の死体が浮かび上がった、頸部に絞められた跡をはっきりと認めた法医技師は他殺と断定、死亡時刻を前夜八時頃と推定した。本庁、所轄署の刑事が入り混じっての捜査が始まった。被害者の身許を調べる一方、殺人現場を発見する事が急務だった。長田、渡辺、金子、高津四刑事は、所轄署刊事の応援を得て、その第一現場探しに、林、中川刑事は附近一帯の聞き込みに向かった。捜査本部に、解剖の結果がもたらされた。被害者は殺される一時間前に支那ソバを食べており、暴行の痕跡はなかったが、異性との交渉が相当あったことが判明。そして、少年係刑事の言葉から、被害者の身元が割れた。林美代子という十五才の少女で、売春婦の母親とバラック小屋に住んでいたという。林、中川刑事は、勇躍、被害者宅へむかった。一方、“第一現場発見”の報告が捜査本部にもたらされた。附近の支那ソバ屋を聞き込みすれば、被害者の足取りが解けるに違いない。出先の刑事達に電話で指示をおくる主任の声はようやく張りを帯びてきた。美代子の母親クニは、悪質の性病によって、精神異常をきたしていた。笑い狂うクニの姿に、茫然となる若い中川刑事。だが、近所の親爺が、林刑事の差し出した死体人物写真が確かに美代子であることを認めた。幼いとはいえ、売春婦であった美代子には、いろいろな男達がとりまいていた。林、中川刑事の聞き込みが、今度はその男達の姿を求めて展開された。第一現場付近の聞き込みを担当していた長田、渡辺刑事が「支那そば屋」を発見した。前夜七時頃、背広姿で三十前後の男と一緒に、美代子がきたというのだ。折から、林、中川刑事が、附近の飯場に、昨夜外出したままかえらない鮫島という男がいると聞き込んできた。果たして、その男が支那ソバ屋の男と一致するか、七人の刑事達は新たな斗士に燃えた。
折も折、捜査本部に、鮫島が強姦未遂現行犯で、事件当夜検挙されたという知らせが入った。飛び立つ思いで留置先を訪ねた長田刑事。だが、犯行時間前後の鮫島のアリバイはシロであった。その夜、美代子が福祉事務所の役人と歩いていたという鮫島の言葉から、長田、林、中川刑事は福祉事務所を訪ねた。当の村上という男は不在だったが、妻子もあり、勤勉な人間だと、係長は信頼していた。美代子には木下和夫という幼馴染の恋人がいたが、事件当夜から、行方が知れないという報告が林刑事から、更にまた事件当夜、役所を五時に出した村上が、帰宅したのは十一時だったという高津からの聞き込みが、前後して捜査本部に入った。和夫の行方を手配する一方、村上のアリバイ追及に、七人の刑事達は奔走した。遂に、重要参考人として村上が捜査本部に連行された。美代子と村上の常宿を渡辺刑事がつきとめ、更に「支那ソバ屋」の三十男というのも、村上であることが判明したのだ。村上の自白を待つのみといった捜査本部。そこへ突然、和夫がやつれた姿を見せた。美代子を殺したのは意外にも和夫だった。生活補助金を餌に、美代子を自由にしていた村上は、女中として働きたいと相談したあの夜の美代子に、そうなれば補助金を他の人に廻すと脅した。二人の後を尾行してきた和夫の手に、ナイフが光ったのはその時だった。だが、村上は逃げ去り、和夫は半狂乱になって泣く美代子と残された。狂った母親をかかえ哀れな恋人を、どうしてもやれぬという若者の慟哭、「死こそ、美代子の不幸に終止符を打たせ得る」と、和夫の指はいつしか恋人の首にまきついていたのだった。

警視庁物語 十五才の女
(C)東映

シリーズ

「警視庁物語」シリーズ(24)

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