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拳銃野郎に御用心 

Beware of The Gunman

1961(昭和36年)/2/26公開 79分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12178 
配給:東映 製作:東映

ガン・ブームにのって、ポンと飛び出た拳銃売りのイカサマ野郎。女は口説く、鬼より恐いヤクザにはオモチャの拳銃を売りつける。舌先三寸で爆笑を呼ぶ傑作喜劇。

拳銃野郎に御用心 
(C)東映

ストーリー

殺し屋ブームを持ち出すまでもなく、拳銃は物騒な当世の流行品、特にハヂキの数で勝負をつけるという現代やくざにとっては正に垂涎のシロ物である。ここに登場する並木という青年は、舌先三寸に物を言わせ、やくざ共を手玉にとって商売するという奇智もたけた拳銃ブローカー、折しもやくざ芥川一家の注文を受け、しこたま拳銃を仕入れた彼の相棒の大崎と連れ立って東京を後にした。並木の目的地には芥川一家の哲次とシン太が待ちかまえていた。彼等は並木を痛めつけ、その拳銃を只でそっくり戴いてしまえという親分長三郎の命令を受けていたのである。しかし百戦錬磨の並木は、そんな手口は百も承知、哲次たちに屑鉄入りのトランクを握らせ、更に利益を一人占めにすべく相棒の大崎までもまいて単身芥川一家に乗り込み、瞬く間に拳銃を売りさばいてしまった。しかもご丁寧にも芥川一家の競争相手榊原組にも売り込むという手廻しのよさだ。頭へきたのは哲次である。そもそもこの哲次という男は、侠気一徹昔気質のやくざ、しかも短気の見本みたいな暴れん坊だ。彼は今度並木に会ったなら……と腕を撫でして待ちかまえていた。しかし、並木にとって、こんな男をまるめこむのは朝飯前、下の魔術に物を言わせて逆に哲次を自分の兄貴分に祭り上げてしまった。並木は又、あっという間に女性を手中に収める特技も心得ている。その為、キャバレーの女給キン子や、メリーゴーランドのサービスガールはるみは並木に大変なお熱である。おでん屋“川太郎”を切り廻すお蓉という勝気な女に、二十年来惚れ込んで未だに頭が上がらない哲次とは、正に雲泥の相違だ。
さてここに一事件持ち上がった。というのは金遣い荒く、懐具合の悪くなった並木が、一計を案じて警察に密告し、芥川一家の拳銃がなくなれば並木の商売はまたまた繁盛するのは当然。榊組との仲が険悪化している昨今、芥川一家は慌てて並木に拳銃を注文してきた。思う壺とばかり、並木は哲次とともに拳銃買いに旅立った。しかし並木はこの辺が金を奪ってズラカる潮時と腹を決めたものの、哲次の用心部下差には流石の彼も手が出ない。そこで奥の手、舌先三寸をのぞかせた並木は、自分の身の上話に始まり、わが青春は悲し…とばかり泣き落とし戦術にかかった。持ち前の狭義心をゆすぶられた哲次は、又々並木の立場にすっかり同情する始末。その上、現在拳銃入手のあてがなく、間に合わせに本物そっくりの玩具の拳銃を仕入れようという並木の提案をのんでしまった。芥川一家の親分長三郎は時が時だけに、当座のおどかしにと止むなくこの玩具の拳銃を買いとった。一人うまい汁を吸ったのは並木、とに角、大変な野郎である。だがこのペテン師並木にも、心から惚れこんだ女がいた。それは哲次が猫のように可愛がっている妹のはるみである。哲次の目を盗んで密かにはるみを連れ出し、東京で堅気の生活を持とうと決心した並木は、最後の大芝居と、残っていた玩具の拳銃を榊組に売りつけようと計った。日その頃、芥川一家の親分長三郎は、榊組の悪計にかかり、殺し屋島津の手で殺されていた。計らずもこれを目撃したのが運のつき、並木は榊組の手によって監禁され、あげくの果てに、親分殺しの下手人に仕立てられる始末となった。親分の仇、しかも妹のはるみまでもたぶらかした裏切り者…そう思い込んだ一徹な哲次は怒り狂って並木と対決した。哲次の手には弟分真崎から与えられた拳銃が、そして並木の手には榊組から奪った拳銃が不気味に握られている。折からこの決斗の場に飛び込んだはるみは、必死に恋人並木をかばった。だがこの対決も危機一髪、駈けつけたパトカーによって遮られてしまった。ところがである。二人が必死に握っていた拳銃は、かつて並木が売りつけたあの玩具の拳銃、何のことはない、二人は子供の西部劇ゴッコをやっていたも同然だったとは……。並木の口から始めて親分殺しの真相を知った哲次は、並木ともども榊組に乗り込んだ。折も折、警察の手も廻り、榊組一味はことごとく逮捕された。かくて拳銃ブローカー並木の捲き起こした事件もやっと落着、やくざの足を洗った哲次ははれてお蓉と夫婦になり、並木も又はるみとの幸せを真剣に考えていた。

拳銃野郎に御用心 
(C)東映
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