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緋ざくら小天狗 

Little Tengu

1961(昭和36年)/4/25公開 78分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12304 
配給:東映 製作:東映

ニッコリ笑って悪を斬る!ひばりの女剣客、歌と踊りで大あばれ!行儀見習いのため江戸の乳母のもとへ行ったお俊。市川米十郎のために一肌ぬいで、いなくなった役者の代役で舞台に上がる。

緋ざくら小天狗 
(C)東映

ストーリー

大阪天満の質商但馬屋の一人娘で天満小町と噂の高いお俊は、唄と踊りの名手だが剣術好きのめっぽう意気の強い性格である。今日も踊りをひやかした地廻りを投げ飛ばし、さんざん痛い目にあわして話題をまいたが、見るに見かねた父親の発案で、行儀見習いのために江戸の乳母の許にあずけられることになった。ところがお俊は大喜び、いさんで江戸に旅立ったが、途中ばったり役者の市川米十郎の男衆与茂八に出喰わした。いま人気者の米十郎は、いつか天満でお俊の舞台を見染め、心の通った踊りに感心、それが機で師匠嵐璃?の勘気にあい、江戸へ帰る途中だった。米十郎を励ましたお俊は、その側に寄りそって、心も浮き浮きと楽しい旅を続けるが、いつか自分を狙う蛇の様な武山文平にの存在に気がついた。文平もまた天満でお俊を知り、昔嫉妬で斬り捨てた恋人の面影をお俊に求め、胸を患う身で執拗に追いまわす隻眼の浪人である。
一方江戸、お俊を待ち受ける浅草の男伊達上総屋万五郎は、料亭松廼屋の亭主にインネンをつける暴れ旗本稲妻組を相手取り男をあげたが、それがもとで頭領座光寺若狭之介らの恨みを買うことになる。ことの起こりは、若狭之介が柳橋の芸者市松に目をつけたからだが、実は市松は米十郎と幼馴染だった。お俊は、川崎で米十郎を迎える一松の姿をみて急にさびしさがこみあげてくる。万五郎の家でお俊の新しい生活が始まったが、茶の湯、お習字、いけ花と、性にあわない稽古事には身が入らず、相変わらず若い衆を相手に剣術の腕だめし、万五郎夫婦もすっかりお手上げだ。そこへ、米十郎が江戸で新しく人気を得て、四代目市川小団次を襲名するという噂が飛び込んできた。演しものは、「義経千本桜吉野山道行」米十郎の忠信、岩井粂之丞の静御前と決まり、稽古が始まったが、お俊は連日稽古場に入りびたりだ。市松もまた、米十郎の成功を祈り願をかける程の熱心さだが、嫉妬に狂う若狭之介一味は或る日稽古場に押しかけ、米十郎の側から市松をひったてようとしたが、居合わせたお俊は、思わず脇差しを片手に一味の前に立ちはだかり、腕前の程を疲労してしまった。その時、怒髪天をつく若狭之介の利腕をにぎった浪人がある。いつかの、武山文平だ。「この女に手を出す奴は、容赦しねえぞ」文平と若狭之介は古馴染みだっただけに、その場はうまくおさまった。
一方、市松もまた、お俊に嫉妬を感じていただけに、狡猾な若狭之介の策略に乗り一味がお膳立てした米十郎とお俊の逢瀬を目のあたりに見て、カッとなり、米十郎を裏切る決心を固める。小団次の襲名披露当日、静御前役の岩井粂之丞の姿が見えず、市村座は大騒ぎとなった。乱れ飛ぶ観客の罵声を聞いた稲妻組の一味がせせら笑った時、チョンチョンと析の響きと共に幕が開いて、一同はあっと驚いた。消えた筈の静御前が…お俊が自ら代役に立ったのである。小団次とお俊の舞台は完全に客席を魅了した。同じそのころ、非をさとった市松の知らせで、万五郎を先頭とする上総屋一家が座光寺邸にのり込んで粂之丞を奪い返すべくつとめていたが、遂に乱斗に移っていく。万雷の拍を受けて舞台を終えたお俊は、万五郎の危機を知り、舞台衣裳を喧嘩支度に変えて座光寺邸にかけつける。お俊の加勢を得て、万五郎一家は力づき、たちまち稲妻組を斬りくずしていく。若狭之介を倒し用心棒となっていた文平も、「お俊、お俊」と絶叫しながら倒れていった。まもなく、上総屋に女伊達が誕生した。お俊改め、奴の小万、万五郎の跡目を相続して気風と度胸を世に問うことになったのである。祭で賑わう街の通りを、小万の門出を祝う山車が大阪の両親と万五郎夫婦、小団次と市松らに見送られて、明るい唄をまきちらしながら威勢良く進んでいく…。

緋ざくら小天狗 
(C)東映
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