1961(昭和36年)/4/26公開 86分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12322
配給:東映 製作:東映
御存知片岡千恵蔵の御家芸、手練の二挺拳銃決定版である。新境地開拓を目ざして東洋のメッカ日本へ乗り込んできた世界のギャンブラーつまり賭博師達が、東京地下賭博場を舞台に鎬をけずって相争う。物語は、ユーモアと活劇、スリルとサスペンスを織り混ぜ、多彩な人間像を配して国際色豊かな興棒の中に展開する。配役は、久し振りに故郷日本を見ようと南米からはるばるやって来たアマゾン無宿の源次に片岡千恵蔵、その相棒で、日本の有名なバクチ打ち国定忠治の流れを汲むというニューヨークの賭博師ゴールドラッシュの熊吉に進藤英太郎が扮し、パリからやって来た、マルセーユ生れ、お婆さんが日本の芸者ガールだったという三代目の混血児スペードのジャックに江原真二郎、青年らしい血気に燃えてやくざ仁義に生きる好漢進次に、梅宮辰夫、牧場を一人で切り廻す気丈な娘道子に佐久間良子、やくざな父の悪業に心を痛め、孤児院に青春を捧げる秀子に三田佳子、香港から密天国した麻薬団の大物龍源昌に月形龍之介、その美税の女秘書玉琴に久保菜穂子など豪華メンバーを揃えている。
国際賭博都市として有名をはせたラスペガスも、最近ぱ閑古鳥が鳴くというさびれかた。ラスベガスの例だけでなく、シカゴもニューヨークも、いやパリもロンドンも世界中の賭博場は、不況のどん底へ追いやられているという現状とか。このままでは世のギャンブラー、つまり賭博師達は飯の食い上げである。そこで、彼等が眼をつけたのは東洋。東洋といえばなんといってもフジヤマ、ゲイシャガールの日本。賭博師達は海から空から新境地日本を目ざしてやって来た。ニューヨークを代表としては、日本の有名なバクチ打ち国定忠洽のながれを汲むというゴールドラッシュの熊吉が、パリからはマルセーユ生れでお婆さんが日本の芸者ガールだったという三代目の混血児スペードのジャックが、そしてカイロからも中国からも彼等は、期せずして、本屋敷の経営する、国際ホテル地下の秘密賭博場へくり込んだ。
その頃、かもめ飛ぶ横浜港へ、一人の男が降り立った。ソンブレロをかぶったパンチョス・スタイル。久し振りに故郷日本を見ようと南米からはるばるやって来た、アマゾン無宿の源次である。源次も本屋敷の賭博場へくり込んだ。賭博とイカサマはつきもの、熊吉がイカサマをやったのが発端になり、源次と熊吉は賭博場の真ン中に対立した。そこに一枚加わったのはジャック。源次は、事面倒といきなりポケットから二挺拳銃を引き抜いた。あわやと思うその一瞬、中に割って入ったのは、香港から秘かに日本へ逃亡して来た麻薬団の大物龍源昌である。龍は、源次、熊吉、ジャックの三人を使えると睨み、莫大な金を積んで用心棒に雇った。龍は、本屋敷の賭博場を根城に、日本の賭博場を一手に握ろうと機を狙っているのである。そして、先ず邪魔になるクラブ「ネバダ」の社長西園寺を闇へ葬った。西園寺の乾分の橋爪は、龍へ寝返ったが、お抱え運転手の進次は、がんとして龍に対抗した。龍の魔手は進次へ、そして西園寺の娘で、やくざな父の悪業に心を痛め、孤児院に青春を捧げる秀子の許にまでのびた。源次とジャックは、秘かにこの二人を庇った。そこに一つの事件が持ち上った。龍の美税の秘書玉琴が突然発狂、龍に発砲したのである。これは偽の狂態・・・そう見破った源次は、自らも狂人を装い、精神病院へ乗り込み、熊吉やジャックと力を合せ監禁されている玉琴を連れ出す事に成功した。玉琴は、実は日本人で、死んだ恋人が、龍に殺されたという事実を知り、秘かに龍の命を狙っていたのである、精神病院を脱出した彼等は、玉琴の妹道子が父亡き後、女手一人できり廻している大木牧場へ集った。ここでも源次と熊吉は、事々に対立、遂に決斗となった。真っ赤な夕日を浴びて源次と熊吉は戦った。しかし、流石の熊吉も源次の早撃ち二挺拳銃には、歯が立たず、源次の前に屈した。決斗騒ぎも収まり、一同は、東京へ引き上げることなった。その頃、龍はクブブ「ネバダ」を根城に日本中の賭博市場の殆どを、その手中に握っていた。そこヘインドのハッサンとカシムから賭博場の協定を申し入れていた。龍は、このハッサンとカシムを利用するだけ利用し、あげくの悪心、源次をさし向け命を奪おうとした。しかしハッサンの方には意外にも熊吉がついていた。熊吉の裏切により、ハッサンを撃ち逃した源次は、龍に狙われるところとなった。源次は、龍の命を受けた橋爪に拳銃を撃ち込まれ、海中へ転落していった。邪魔者を全て片づけた龍は、「ネバタ」を新装開店、地下賭博場も見違えるばかりに改装した。龍は、本屋敷を従え賭持場の一角で秘かにホクソ笑んだ。とその時、ドアが乱暴に開かれ拳銃を構えた熊吉、ハッサン、カシム以下乾分達が雪崩れ込んで来た。本屋敷の乾分達は、龍を守り彼等と対決した。そこヘフランスの賭博師ゲランとバンチュラ等を従え、ジャックが、そして一方のドアからは、意外、源次と進次が・・・源次は、からくも橋爪の銃弾から逃れていたのである。源次と熊吉とジャック、そして玉琴、進次は、一ケ所に集まり龍はじめ各国札つきの賭博師達を拳銃で押えた。これは、牧場で源次と熊吉、ジャックが前もって打合せた筋書きだったのである。激しい拳銃戦の後、龍以下賭博師一味は殺到する警官隊に逮捕された。晴れわたる羽田空港、祖国日本を狙った世界の賭博師共を壊滅させた源次と熊吉の輝かしい顔、二人を見送って立つのは、ジャックこと実はフランス帰りの国際警察刑事滝村五郎、そして進次、秀子、道子、源次と熊吉の傍らに、いつの間に寄ったのか、玉琴実は重子の明るい表情もあった。