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男の血潮がこだまする 

Boiling Blood

1961(昭和36年)/5/14公開 88分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12300 
配給:東映 製作:東映

荒くれ男たちが危険な材木運搬に命を賭ける大森林を背景にくりひろげられる爽快雄大なアクション・ドラマ。物語は、ほとんど山岳地帯を舞台にして展開、文字通り男対男の闘いを描く。危険な山道を材木運搬に従事するトラックの暴走、トラック野郎という荒くれ男たちの断崖上での決死のトラック競争等々、ダイナミックなシーンが連続する。その一方、随所に痛快な喜劇タッチを盛りこんで、型破りな男性映画を狙っている。配役は、トラックの運転手朝倉鉄男に扮する高倉健をはじめ、インスタントの黒という暴れん坊には、丹波哲郎、さらに三田佳子が二役に取組むという文字通りのヒロインに扮して出演。

男の血潮がこだまする 
(C)東映

ストーリー

××運送のトラック運転手朝倉鉄男は、目的地まで運送中の新車トラック3台を、ある国道附近でいつのまにすさまじいオンボロトラックとすり変えられてしまった。下手人はインスタントの黒というふざけた野郎だ。10日以内にトラックを取返してこないとクビにするという社長、早く返ってこないと結婚できないという社長令嬢紀子。鉄男はインスタント野郎を追った。それから数日。
インスタントの黒こと黒須勝也の行方をやっとのことでつかんだ鉄男は、運転手 井田辰夫のトラックに便乗、山岳地帯の小さな街についた。翌朝、木曾深山開発の飯場に乗り入れた鉄男は、そこで遂にインスタントの黒とその子分サブ、圭坊、鳥、達チンなどを発見、物凄い殴り合いを演じた。木曾深山開発の社長相沢は、台風被害地の復興資材として、大量の木材を運ぶ事業に取りかかっていた。鉄男はここで思いがけなく紀子と瓜二つの相沢社長の一人娘久美子に出逢い、その美しさに圧倒され、当分、ここに御厄介になることを決め込むという風来坊ぶり。おかげで黒須たちと共に、危険な山道を材木運搬に従事するのだった。
東京本社から派遣された監督官千葉の下で、大木は次々に伐出され、運搬された。一往復300円の低賃金にふくれる黒は仕事をサボる。その為、北村運転手の怒りをかった黒は、北村を断崖上につれ出し、同じトラック野郎ならトラックの腕で勝負しようと迫った。100キロでトラックを暴走させ、崖っぶちで寸前ブレーキをかけるという命知らずの競技に、流石おじけづく北村。黒は見事やってのけた。この黒須たちの乱暴ぶりを、何故か主任桑田と、出張所長千田だけが放任している。この二人は、監督官千葉が東京本社へ帰っていったのを幸い、結託して悪事を企んでいた。
鉄男と黒須は、美しい久美子を挟んで、ユーモラスな張り合いを始めた。だが、黒須は、飯場の高子というとんでもない女の子にほれられてしまった。
その頃、相沢社長は、千田の招待で、「ライラック」のマダム晶子に接待を受けた。主任桑田、島崎も同席した。千田は相沢を悪事にひき込もうとしたが、相沢はにべもなく断った。その帰途、千田の指し金で、桑田、島崎によって相沢社長は、監視小屋の中で□にウイスキーをふくまされ、ジープと共に断崖からつき落とされた。この殺人を北村が目撃した。彼は桑田たちのおどし文句におびえ、他言しない事を誓う。だが相沢社長には恩を受けている彼だ。
相沢の遺体が焼かれた。悲しみに号泣する久美子、だが納期まで材木を運ばなければならない。彼女は、木樵の玄造老人、鉄男、そして今は彼女のために心を入れ替えた黒須たちの協力によって、亡き父の事業を継ぐのだった。
千田、桑田一派は夜間作業も辞せず運転手たちに重労働を課した。次々に運転手達が倒れた。材木は既に予定の半分は出荷している。だが千田の記録に3分の1、彼等は横流しをやって暴利をあさっていたのだ。その上、久美子には、木材が不良品だったと偽った。
事実を知る北村は始終おびえ、鉄男を避けた。鉄男は北村の挙動と相沢の死に何か関連を感じた。警察では解剖の結果、相沢はウイスキーを飲んでいたという。ライラックのマダム晶子も、あの晩、ウイスキーを飲んだと証言する。だが久美子によると、決してウイスキーを飲まないという。北村が島崎の手によって、トラックもろとも崖下へ突き落され、絶命した。
一切の証拠が失われた。鉄男は久美子を誘い、激しい怒りの中に千田らの悪事の全貌を説いた。この時、久美子を奪われたと感ちがいしたインスタントの黒が現われ、やにわに鉄男に飛びかかった。瞬間、附近に積まれてあった材木の山が大挙して崩れ落ちた。必死に逃げる鉄男、黒須、久美子。千田一派が彼等を材木の下敷きにして殺害しようとしたのだ。鉄男は一味を粉砕すべく黒に協力を頼んだ。
翌朝、木曾深山開発の事務所の前庭、トラックの上で、鉄男と黒須のすさまじい殴り合いが始った。これは二人の策略だ。この殴り合いを利用して桑田の眼をひき事務所から連れだし、黒の子分サブたちが事務所の金庫から巧みに書類を奪った。続いて「ライラック」からも、出張所の千田の金庫からも重要な書類を奪った。事件は一挙に解決、一味の悪事が明るみに出された
今は平和が戻った深山開発。木樵の玄造老人が、久美子と東京から帰ってきた監督官千葉との結婚を発表、鉄男と黒須を仰天させた。三人はかねてから婚約中だったのである。鉄男と黒須は、いさぎよく引分けを認め合い、二人の男はこうして山を下りた。黒須の子分サブ、烏、達チンは勿論、飯場の少女高子までも黒と一緒に行くと言ってきかない。鉄男も又、社長令嬢紀子の許へ、軽快にトラックを走らせるのであった。

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(C)東映
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