1961(昭和36年)/11/22公開 146分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12469
配給:東映 製作:東映
「貧しくとも元太は強い!」少年文学近藤健原作を、『路傍の石』『女中っ子』児童映画の名作を世に出した巨匠田坂具隆監督が三度放つ感動大作。父を戦争で失った貧しい家庭の元太は、淋しがり屋で、暴れん坊だが、優しくて正義感と勇気に溢れる明るい少年だ。最愛の母に病気で死なれながらも、学校の先生の温かい励ましや大工のおじさんや老人たち、長屋の人々の激励の中で明るく元気に力強く生きていく。「大人と子供の接点を考えてみたい」と『路傍の石』『女中っ子』の児童映画の名作を世に送り出した巨匠田坂具隆監督が放つ笑いと涙の感動大作。貧しくとも、母がいなくても…少年元太と大人たちの心を結ぶ感動の名作!創作児童文学・近藤建の同名原作のテーマに、巨匠田坂具隆監督が“大人と子供の接点を考えてみたい”と真摯な情愛を込めて描いた名篇。貧しい家庭に育ちながらも教師の温かい指導と近所の大工の小父さんの善意に支えられ、最愛の母の死という不幸を乗り越えて、明るく元気に生きる少年のひたむきな姿が、笑いと涙を誘い、胸を温かくつつむ忘れがたい感動巨篇。腕白で正義感の強い明朗闊達な少年元太を名子役・伊藤敏孝が演じ、元太を常に励まし勇気づける高木秋子先生に円熟味を増した有馬稲子が扮する最高の配役。他に元太の母に木暮実千代、大工の小父さんに三国連太郎、その小母さんに小宮光江が扮し、さらに東野英治郎、千秋実、神田隆、風見章子らのベテラン演技陣が適役を得て芸達者振りをみせている。
三浦元太は小学6年生。父がインドネシアで戦死したため日雇い労働をしている母およしと二人で十三軒長屋の屋根裏に住んでいる。元太は級友の犬が犬捕りに捕まりそうなのを見て勇敢に犬捕りに向って行ったり、腕白坊主に苛められる仲良しのひとみを助けたりする少年らしい正義感を持っていた。同じ長屋に住む大工の小父さんと小母さん夫婦はそんな元太が可愛くて、何かとこの母子の世話を焼いていた。秋子先生もそんな元太が大好きであった。ところが無理が祟っておよしが病気になってしまった。そんな折、親子討論会が開かれ委員に選ばれた元太は、競輪ボス沖山後援会長が選挙にからんで長屋の住人を脅迫したことを暴露して騒然となる。怒った沖山は校長先生、秋子先生に訂正と謝罪を求めたが、秋子先生は「子供が考えた正しい意見」だと主張した。それから待ちに待った修学旅行の日が来たが、元太は病床にある母のために旅行を諦めて積立金を生活費に回した。ひとみも旅行に行かず、元太と一日遊園地で遊び回って二人だけの修学旅行だと喜んだ。やがて夏が過ぎて秋の運動会が来た。元太は800mリレーの選手としてアンカーを受け持った、声援を受けて元太は3位から2位へ、そして1位でテープを切る。その喜びを母に知らせようと一目散に家に帰った元太は、母の危篤を知った。「がんばれ母ちゃん」と必死で叫ぶ元太の声も空しく、大工の小父さん、秋子先生に見守られて母は息を引取った。その通夜の晩、元太は失踪した。秋子先生は、写生会でユネスコ村のインドネシアの家を一心に画いていた元太を思い出し、ユネスコ村に向った。元太は父の面影が残るインドネシアハウスの中で思い切り泣いていた。そして元太は、大工の小父さん夫婦と暮していくことになった。すっかり秋めいた並木道を、元太は元気いっぱいに校門をめがけて走って行く。