1962(昭和37年)/3/21公開 101分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12746
配給:東映 製作:東映
<60年安保>の挫折感漂う世相に公開された本作品は、日本映画界、放送・マスコミ界にも波紋が広がり大きな話題となった時代劇大作。
出演は天草四郎に大川橋蔵が扮し、その恋人役に立川さゆり、天草四郎の親友・岡新兵衛に大友柳太朗、転びキリシタンに三国連太郎、他に丘さとみ、平幹二朗、千秋実、加藤嘉、河原崎長一郎、花沢徳衞、佐藤慶ら豪華演技陣を配して、監督・大島渚が意図的に求めた暗闇の映像美が強く印象に残る意欲大作。
徳川家光の治下、島原天草のキリシタン百姓は、暴政とも言える幕府の信仰弾圧と重い年貢に苦しんでいた。キリシタンに深く帰依し武士を捨てた四郎は、同志と決起の日を期して雌伏していたが、その間にキリシタンは残虐極まる刑に処せられていた。その光景を見た百姓たちは何も手を打たない四郎に非難の目を向ける。四郎は武士時代の親友・岡新兵衛に島原城内のキリシタンとの連絡を頼み、共に決起しようと情報交換を図るが、新兵衛は捕まってしまう。城内キリシタン蜂起失敗を知った四郎は武装した百姓たちに進撃中止を勧めるが、得体の知れぬ浪人の煽動で百姓軍は代官所に火を放ち島原城攻撃に討って出た。形勢不利の島原城内では幕府直参・多賀主水が「四郎がグルになってお前を踊らせている」と新兵衛を唆し、四郎を斬るため放免する。四郎に会った新兵衛は、清らかな態度の四郎に疑いを捨て、自ら城兵の弾を受けて負傷する。一方、酒色に溺れる藩主・松倉勝家の無能に業を煮やした主水は幕府から十万の大軍を呼ぶ事に成功する。大軍が来る前にと島原城総攻撃を敢行した百姓軍はオランダの大砲の前に大敗、島原城には拉致された四郎の母、姉、新兵衛の十字架が立った。動揺する百姓軍に四郎は「生きるも死ぬも全て神の御手にある」と叱咤し、籠城戦を提案する。やがて四郎は白地に黒の大十字架旗をはためかせ、百姓軍四万七千人余を率いて原の古城に集結した。