1962(昭和37年)/5/9公開 83分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12723
配給:東映 製作:東映
地位と名誉と実力を誇る将軍家御指南番・伊勢伊勢守が、風来坊の偽伊勢守のために散々な目に会うという常識破りの痛快な物語を、思い切った趣向の演出でユーモラスに描いた傑作。
武士道万能の世に、地位と名誉と実力を兼ね備えた華やかな伊勢守に対し、大小の落とし差しのみに武士の面影をとどめた、貧しく名もない乞食浪人甲と乙の二人は、持ち前の悪知恵を巡らして一計を案じた。伊勢守の高名を無断借用して、詐欺行脚をおっぱじめようというのだ。こんな二人の前に、容貌魁偉傍若無人の若い田舎者が降って沸いたように登場する。甲と乙は衣装と大小をだましとり、ここにエセ伊勢守主従が産声をあげた。詐欺行脚は甲乙の出任せの言葉で成功し、前途洋洋かと思われたが、甲と乙の小悪党ぶりが意外にもニセ伊勢守のヒンシュクを買い、棒切剣法の洗礼が甲と乙に情け容赦なく浴びせられるのであった。甲と乙が去ったあとも、ニセ伊勢守の活躍はますます活発となった。やがてニセ伊勢守は本物の伊勢守の娘・八重を助けたことにより伊勢守と初対面。娘の恩義に免じて、謝罪するなら不問に附そうという温情に対して、ニセ伊勢守は非を悔いようとしない。ここで二人伊勢守の対決が行われたが、無為無策の無勝手流に天下の伊勢守無双流が手も無く打ちのめされてしまうという信じがたい奇跡が起こった。本物の伊勢守は悲壮な決意を固め、武者修行へと老骨に鞭打つ。一方、無敵のニセ伊勢守にも強敵が現れた。八重の直情径行な求愛である。さすがの無勝手流もお色気には勝てぬと、逃げ出すニセ伊勢守だったが、そこに本物の伊勢守から再び挑戦状が届いた…。