1959(昭和34年)/2/10公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
平凡連載の宮本幹也の原作を高橋治が脚色、堀内真直が監督したアクションもの。撮影は小原治夫が担当。大木実、高千穂ひづる、南原伸二らが出演。
膳雄二は殺しの現場を見た。銀座のギャングのボス・鉄井が京橋のギャングのボス・坊原の手下の男を、交通事故と見せかけて殺した、その現場を。コーヒー店・文鳥の主人の孝吉も見ていた。雄二が警察に届けようとするのを、孝吉はとめる。われわれも危なくなる。雄二が警察から帰ってきたとき、孝吉はすでに鉄井組に連れさられていた。雄二は鉄井組に単身引き取りに向うか。彼は戦災孤児だった。将軍爺という老人に拾われ、その娘・千代や秋夫という少年と一緒に靴みがきをやった。老人はみんなを教育し、愛した。雄二は米軍大尉について、沖縄に渡り、今は新聞記者になった。北海道へ出張の途中、十二年振りにこの街に立ち寄ったのだ。鉄井組は、孝吉はいない、返したといった。手を引けともいう、“有楽町夫人”という謎の女が坊原と鉄井を操っていた。雄二は鉄井組に呼びだされ、襲われ、見事な空手の腕を示すが、捕まる。有楽町夫人が坊原の手下を引き入れ、雄二を救わせる。雄二は孝吉の居場所を知ろうと鉄井のところへ行き、彼に迫った。雄二は将軍爺に再会し、初めて有楽町夫人が千代であることを知る。ある日、千代は梶岡という財界に力を持つ男に連れ去られた。のち、街娼になる。爺を見向きもせぬ。今は、梶岡の金と力のために、その指図通りに鉄井や坊原を操っているのだ。梶岡はこの町のヤクザどもをかみ合せ、共倒れにさせ、町を自分のものにしたいのだ。雄二は千代のアパートを訪ね、平手打ちした。昔の君はそんな投げやりな人間じゃなかった。昔から好きだったんだ。彼が出て行ったあと、さしもの千代も泣いた。