1959(昭和34年)/11/29公開
配給:松竹 製作:松竹株式会社
源氏鶏太の原作を、長谷部慶次・富田義朗・菅野昭彦が共同脚色し、生駒千里が監督し、篠村荘二郎が撮影したサラリーマンもの。事故死した高橋貞二の最後の主演作品となった。
陽新工業の総務部長三室は“センタク部長”と呼ばれる。妻はなく、幼い娘と婆やと暮らす。会社でハンカチを洗濯したりするのだ。しかし仇名には敬愛の意味があった。気取らぬ人柄だったから。総務部の敬子は彼と結婚する大願をたてた。洗濯も代わってしてやる。若い高森には敬子と結婚する大願がある。敬子は三室への気持を兄に話した。兄は高森との結婚をすすめた。会社は泰東工業から資本を入れることになった。三室は裏に何かあると感じた。専務の池田は話をにごした。療養中の社長は三室をなだめ、専務に協力するようにいう。相手の社長平田は融資の条件は重役をくりこむことだと三室に答えた。三室は席をけった。池田の陰謀をくつがえすことが、三室の大願になった。高森は敬子に結婚を申しこむが、断わられ、三室に泣きつき、励まされた。三室は友人の記者・松田から、平田の背後には財界の怪物といわれる後藤がいると聞いた。三室を慕う芸者金太郎の旦那が彼であることが判った。池田は平田と腹を合わせ、三室を総務部次長に格下げし、後釜に出向の笠井をすえた。身を引かせるためだ。高森ら若い社員は三室を激励する会を開いたが、彼の態度はなぜか煮えきらぬ。会合にスパイがいた場合を考えてのことだが。杞憂は事実となり、高森らは地方に転勤を命ぜられた。彼らは三室の裏切りだと罵った。三室は池田に自分が身を引く代わりに転勤を取り消させた。スパイを使った営業部長の杉野に、三室の制裁の鉄拳が飛んだ。