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花札賭博 猪の鹿三番勝負

The Final Gamble

1970(昭和45年)/2/11公開 89分 カラー シネマスコープ 映倫番号:16205 
配給:東映 製作:東映

通称を揚げ羽のお千加と呼ばれる女賭博師が命を懸けて三つの勝負を戦わせる。お互いに秘術の限りをつくして緊迫したシーンを盛り上げる新シリーズ第1弾。

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ストーリー

「サイコロと花札だけか生甲斐で、誰も信じられない,男も愛せない。」逸見千加は、銀座の中級クラブ「千加」の雇われマダムである。干加には、五年前別れた男があった。樫村新介、一匹狼の博徒で、千加は彼に女にされて、花札をしこまれて、そして捨てられたのであった。クラブ「千加」ではマダムの千加の下に、早苗、イマ子、はるみ、ルミの四人のホステスとトランペットの上手なボーイの淳がいた。だが、早苗は今、四才になる娘の一子を千加に預けたまま東京にいなかった。一年ほど前、店の慰安旅行で熱海に行った際、たまたま隣室で聞かれていた熱海の矢田部興業の盆に手を出し、百万以上もの借金をつくってしまったのだった。早苗はその借金を、熱海で体を売って返さなければならなかったのである。千加は暴力団矢田部興業の社長・矢田部宗平に、早苗を帰して欲しいと懇願した。矢田部はこの願いを拒絶したが、店のホステス三人と早苗の体を賭けて勝負しないかともちかけた。ヤキイモの屋台を引く元仕事師の寅市と、ポン引きの花売婆のせきは、この勝負を知って忠告しだ。玄人の矢田部を相手にしては、千加ではとても勝目がないと思われたからであった。「千加」の持主で高利貸の阿久島は、千加にのぼせあがっていた。どの様な方法で口説こうとも、絶対に肌をまかせない千加,阿久島と矢田部には、勝敗の決ったあと千加の体を抱かせるかわりに、無利子無担保で一千万円を貸出す約束がかわされていた。赤坂のスナック「K」の地下室で行われた勝負には、寅市も心配して馳けつけた。盆を中に対座する矢田部と千加、見届人は矢田部の異母妹で熱海の芸者昌代であった。昌代は矢田部興業に草鞋をぬいでいる、新介に惚れていた。千加の最初の苦戦は、途中からふらりと入って来た新介の幻灯によってもりかえされた。新介は、千加の負けを見るにしのびなかったのであった。「兄が負けたとあっては組の名折れ、妹が代って勝負放します。」昌代は千加に再度の勝負を挑み、新介を見届人に指名した。自由の身になった早苗は、干加への心の負担と前途への悲嘆から自殺してしまった。二度目の勝負は、芝神明の料亭「蔦の家」で行われた。筋金入りの仕事師である昌代は、膝元に置いたコンパクトに花札を写していた。新介も寅市もそれに気付いていたが、寅市の脇腹にはピタリとヒ首が突き当てられていた。三番勝負は、二勝一敗で昌代の勝ちだった。寅市は我を忘れて不正をロ走り、新介は引分けを宣言した。千加が体を許さないのは新介が原因ではないかと疑いを持った阿久島は、千加と新介とを斗わさせるように矢田部に命じた。寅市は、阿久島,矢田部、昌代の三人が居合わせるところへ泥酔して暴れこみ、矢田部に殴られ急死してしまった。その直前、昌代を千加と感違いした寅市は、初めて自分が千加の父親だと名乗りをあげたのだった。早苗を、そして今また寅市を死に追いやった矢田部に対して、千加の怒りは燃えた。寅方の下宿から発見された母の遺品の着物を着て、箱根山の上ホテルで聞かれた三度目の勝負に死を覚悟して挑んだ。千加が勝てばクラブ「千加」の店は、千加のものに。だが、もし負ければ、一切を失った上に千加は阿久島のものにならなければならなかった。矢田部を見届人にした、新介と千加の対決は、やはり新介の勝利のうちに終った。「黒い灰皿に札が映ります!勝負はお千加さんの勝ちです!」突然昌代が叫んだ。灰皿は、昌代がそっと新介の膝元に置いたものがった。実際にはこの灰皿は、勝負に熱中した新介の気付いていないものだった。矢田部は、昌代が気絶するまで殴りつけると、新介を外の湖畔へ呼び出した。ヒ首を抜き、向いあった二人は、憎悪をむき出しにして力の限り戦った。足をすべらし氷の裂け目に落ちた矢田部の体は、二度と浮かびあからなかった。新介は、警察へ自首して出た。千加は、寅市のを母と同じ墓に葬るため、北海道へ発った。「一つだけいいことがしてみたかった。惚れた男のために。」羽田空港のロビーで、昌代は千加の手を握りしめながらこう言った。千加の瞳から、そして昌代の眼から、涙がどっと零れ落ちた。

花札賭博 猪の鹿三番勝負
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