1954(昭和29年)/6/15公開 92分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1366
配給:東映 製作:東映
山手樹一郎の人気小説「野ざらし姫」を映画化。お家騒動に揺らぐ三日月藩五万石の存亡を賭けて、江戸へ急ぎ旅の鶴姫一行を追うは悪徳家老が差し向けた悪虐無道の剣客三十騎。東海道を舞台に繰り広げられる追いつ追われつの血戦を甘く楽しい恋と歌で彩る爽快時代劇。男装の姫君・鶴姫を高千穂ひづる、姫君と恋におちる浪人を大友柳太朗が演じる。小沢茂弘の初監督作品。
姫路から加古川へ向かう街道筋、その宿場はずれにある八幡様の境内で、軽業一座の一同が悲しみに暮れていた。ご難続きの一座はこの場所で解散にまで追い込まれてしまったのだ。そこにやってきた数名の侍。武家娘と三人の家来を探しているといい、そのまま去っていった。翌日、軽業一座の太夫であったお菊は、立て替え金を楯について来る市松と江戸に向かっていたが、途中北宿に近い原っぱで、妙な侍・浅香伝八郎と知り合い、一緒に入ったうどん屋で、男装の侍と家臣らしい4人組と出会う。この四人こそ、昨日の夜侍達が探していた武家娘達一行であった。男装の侍の正体は土浦藩の土屋家の鶴姫で、彼女は三日月藩の当主綾之助の許婚であったが、三日月藩の乗っ取りを企む執政稲葉大膳により綾之助は毒殺され、綾姫自身も大膳が御禁制の阿片を密輸していた事実を知ったために追われる身となったのだ。居合わせた伝八郎は成り行きを知り、大膳の手下らに事の曲直を説いて危機を脱した。だが、大膳の舎弟稲葉郷右衛門らは、嘗て伝八郎に喧嘩を仕掛けて切られた宝蔵院覚善の弟子坊主をけしかけて、伝八郎らを襲撃しようと企む。東海道を江戸に向かう伝八郎と鶴姫。お互い心を通わせつつも、凶刃の追撃により鶴姫の家来や市松が刺され、伝八郎も坊主や三日月藩士を斬りながらようやく江戸に辿り着く。しかし、直前で姫が攫われてしまい、伝八郎は伯父である老中土井大炊頭の元へむかう…。