1955(昭和30年)/9/6公開 92分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1886
配給:東映 製作:東映
滴り落ちる血のドス。凄みを利かせる度胸の仁義。堅気ものを震え上がらせる暴力街に、欲望の渦を巻いて起る競馬場の縄張り争い。やくざ仲間の厳しい掟と己を滅ぼしてなお誇る哀しい渡世の中に清らかに咲く恋が彩る異色作。
かつてはこの街一帯に顔を利かせた事のある大滝組も、今はその勢力も榊組に奪われ、もはや見る影も無いほどになっていた。唯一人、代貸の岩佐が組長の宗三郎を支えて乾分たちをまとめて組を護っていた。ある日彼の不敵な仁義を見た与太者の白木が、些細な事がきっかけで起きかけた両組の大喧嘩を事前におさめて、大滝組に取り入ることに成功する。小物ではあるが利に長け、人の心の隙につけ込む鋭い武器を隠していた白木には夢があった。それは競馬に自分で馬を持って走らせるということだった。やがて競馬場の警備員問題という厄介な話が持ち上がり、大滝組の手にゆだねられることになった。岩佐は脅しや麻薬密売などで競馬場の改装費資金となる大金を作り出した。一方で白木はそんな岩佐を嘲笑し、舌先三寸で市役所から競馬場における一切の権利の認可証を貰い、自分の名前に名義を書き換える。岩佐を出し抜いて株を上げ、宗三郎の一人娘・ユキも白木に視線を注ぐようになる。白木は、岩佐がユキに惚れていることを知っていた。幼い頃から片足を引きずって暮らしてきたユキの心を掴むことぐらい、白木には造作も無いことだった。岩佐は激しく嫉妬し、密かに権利書の名義をユキの名前に書き換える。だらしなく追い出される白木をユキは追いかけ、権利書と、自分の身体を白木にゆだねてしまう。白木は権利書を榊に売りつけ、遂に宿願である競走馬の購入資金を手に入れるが…。