1956(昭和31年)/1/29公開 105分 モノクロ スタンダード 映倫番号:1772
配給:東映 製作:東映
明治維新の折、朝敵の汚名を受けた奥羽岩出藩主従が、新生の地を求めて北海道石狩川の大原野に挑み、屈辱、悲愁、困窮に堪える姿を描いた開拓史。
明治維新により朝敵の汚名を受け、奥羽二十五藩の敗色は濃くなる一方だった。岩手山藩でただ一人、無謀の血気を諭した主席家老・阿賀妻は、官軍隊長の堀に藩士一同の帰農を推し進めるべく土地の払い下げを要請した。だが朝敵とみなされた岩手山藩への払い下げは不可能であり、堀が用意できたのは開拓という名目での北海道移住であった。いまだ不毛の地とされていた蝦夷への移住には根強い抵抗があったものの、青年藩主・邦夷の英断により、まずは最初の移住者として阿賀妻や邦夷、そして大野とその妻の千代ら百六十四名の老若男女が石狩の原野へと向かっていった。だが最初に辿り着いた土地はまさしく不毛の地であり、一行はさらに肥沃な土地を求め北上。苦難の末、石狩川を遡って、漸く広漠たる肥沃の地に辿り着く。最初は手馴れぬ大工仕事に戸惑い、町人、大工たちの恨みからの罵詈雑言にも堪える藩士たち。やがて移住民の心が結ばれ計画は少しずつ順調に進んでいった。千代の失踪などの悲しい出来事も乗り越えた阿賀妻は、岩手山藩に残る藩士たちを迎えに戻る事にした。だが故郷の藩士たちは彼の信念に耳を貸さず、更には厳しい冬と共に、移民たちの生活にも疲労と絶望の影が見え始めていた…。