1958(昭和33年)/4/9公開 93分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:10564
配給:東映 製作:東映
前科ゆえ無実の罪に追われ、絶望のどん底に叩き落された一人の男を中心に、彼をめぐる赤裸々な人間像を痛烈に抉る異色ギャング映画の白眉篇。
華やかな港祭りに街はごったがえしていた。事件はその街の片隅のホテルに始まる。ホテルの掃除夫の清之助は、息子の千代太の帰宅を心待ちにしていた。その恋人夏子も来ていた。前科のある千代太が就職できたお祝いなのだが、帰って来た千代太は意外にも悄然としていて、何かあった事を物語っていた。そして、帽子を紛失してきた事に気づいた彼は、探しに再び出ていったが・・・。街々の祭提灯には灯が入り、賑やかな踊りの行列が流れ始めた。だが、地下のキャバレーではダンサーがストライキを起し、支配人の相良は慌てていた。間もなく千代太が自殺未遂の葉子という女を連れて帰って来た。と、そこに、三人の刑事が紛失した帽子を証拠にその夜起った銀行ギャングの容疑者として彼を捕えに来た。しかし、千代太は無罪を主張し、瞬時の隙を見て闇の中に姿を消した。葉子の父牛島は娘の行方を気にしていた。葉子が自殺を図ったのは、父の悪事を知り、彼女の潔癖がそれを許さなかったからだ。牛島は密輸をはじめとする暴力団のボスだった。一癖ありそうな者ばかりが住み込むこのホテルには、遂に千太郎を手配して物々しい非常線が張られた。各々に自分達が手配されたものと勘違いしてか異様な雰囲気に襲われていた。その頃ホテルの人のいない各部屋には札束が投げ込まれ、清之助は千代太の仕業と早合点した。人々は得体の知れぬ札束を抱いて、ホールに集まり乱痴気騒ぎに興じていた・・・。