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吠えろ岸壁 

Howling Cliffs

1960(昭和35年)/7/6公開 75分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:11777 
配給:東映 製作:東映

波止場に群がる沖仲仕の支配を狙って激しく対立する二つの勢カ。その渦中で消されたはずの男が再び帰ってきた。愛する女を殺された男の復讐と恋と拳銃が織りなす痛烈アクシヨンドラマ。

吠えろ岸壁 
(C)東映

ストーリー

直昼の波止場――おびただしい沖仲仕の群れ。この港町の縄張りを二分する長沢組と茨組は沖仲仕たちの支配をめぐって激しく対立していた。一年前、この波止場に流れ込んできた神代健次は、その腕を見込まれ、今は長沢組の小頭にのし上っている。古株の一人・広川は、新参の健次に小頭の職を奪われたことから秘かに彼を恨んでいた。代貸にしてやろうという茨の甘言に乗って遂に長沢組を寝返った広川は、長沢を殺害し、健次の弟分・三公をおどして健次を岸壁におびき寄せた。それは健次が酒場ロックの女給で愛するユキと結婚の約束をした晩であった。広川の拳銃が健次を狙った瞬間、銃声一発。広川は見事に胸を射抜かれ、何も知らぬ健次もまた、銃弾を浴びて黒い波に呑まれていった。二人を射ったのは、秘かに後を追ってきた茨組の殺し屋・井田であった。すべては、このシマを一手に握ろうとする茨の策だったのだ。
それから二年――鳴り響く汽笛の中で美しい港の灯を懐しげに眺めるマドロス姿の男が波止場に立った。二年前、海の藻屑と消えたはずの健次である。彼はからくも密輸船“玄陽丸”の船長・玄珊世に救われこの港に戻ってきたのだ。二年前未来を誓い合った恋人ユキヘの慕情がうずくように健次の胸をしめつけていた。
懐しそうに酒場ロックの扉を押す健次、しかしそこにはユキの姿はなかった。二年の歳月が長沢組の力を押し流し、この波止場は茨組一色に塗りつぶされていた。僅かにギター流しの道公とその妹・玲子だけが、健次を懐かしそうに迎えただけだった。悄然と酒場ロックを出た健次は、かつての弟分・三公にばったり出合う。だが何故か三公は逃げるように姿を消してしまった。健次に好意を寄せる流しの道公は、二年前に長沢が広川に殺害され、更にその広川を殺したのは健次であると言いふらされている事を告げた。しかもすべては三公が警察で証言したということも…。
愕然とする健次の前に酒場ロックのマダムが姿を見せた。彼女は実はユキの姉・梨恵であり、今は茨の情婦であると告げるが、ユキの所在については何故かロをつぐんでいた。
一方、健次が波止場に現れたことを三公から聞いた茨は、直ちに健次を消すよう殺し屋・井田に命じた。一味によって倉庫の中に追いつめられる健次だが、道公の機転により危うく虎口を逃れた。傷ついた健次を道公の妹・玲子は暖かく看病する。玲子は優しかった。彼女はいつしか健次にほのかな想いを寄せていたのだ。
その頃、健次の探し続けていた三公が溺死体となって波止場に浮んだ。今や愛するユキの行方を知っているのは、酒場ロックのマダム梨恵のみ、健次は危険をおかしてロックに通い続けた。遂に梨恵は口を割った。ユキは健次に操を立てようとして茨の手にかかって、既に殺されていたのだ。こみ上げる怒りに耐える健次、その眼に涙がとめどもなく溢れていた。
一方、茨は密輸船玄陽丸の船長・玄珊世との麻薬取引を目前にひかえていた。健次が玄珊世の下で働いているのを知った茨はこれを機会に健次を葬むろうと麻薬取引に健次をよこすよう玄珊世に望んだ。
拳銃を懐に復讐の決意を秘め、漆黒の波止場を健次が行く。取引場所に現れた健次に向って井田一味の拳銃が一斉に火を噴いた。猛然と応戦する健次。激しい拳銃戦が続いた。「カチッ」健次の拳銃が空しい音を立てた。その瞬間を待っていたように駐車していたトラックが八方から轟然と健次に向って突進してきた。一瞬身を飜す健次、この背に井田の拳銃が不気味に光る。突如一つの影が健次を庇って立った。梨恵である。井田の手が引金にかかり梨恵は倒れた。健次が井田に挑みかかる。激闘数刻、道公が急を聞いて駈けつけ、折から梨恵の急報により警官隊も到着した。酒場ロックのバーテン仲原、実は麻薬Gメンによって茨も遂に捕えられた。
巨大なクレーンが唸りを上げる波止場には、健次と玲子そして道公の明るい顔が並んでいた…。

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