作品検索

作品紹介

庄助武勇傳 会津磐梯山

Mighty Shousuke

1960(昭和35年)/10/9公開 91分 カラー シネマスコープ 映倫番号:11973 
配給:東映 製作:東映

“朝寝・朝酒・朝湯が大好きで…”とお馴染みの民謡メロディに乗せて大友柳太郎・美空ひばりの名コンビが機智とペーソスで巻き起こす抱腹絶倒の行状記。

庄助武勇傳 会津磐梯山
(C)東映

ストーリー

会津若松郊外にある村の郷頭に小原庄助と云う郷士がいた。この小原庄助なる人物は「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それで身上つぶした」と附近の人々の唄う如く、俗事に構わず立身出世を願わず、ひたすら朝寝、朝酒、朝湯を励行して、家産を傾けて日々の平和を楽しんでいる傑者でもあった。
ところが、この庄助のささやかな平和を破る出来事が持ち上がった。藩主・松平容保が、小原家先祖の功を認め、且つ庄助の人物を見込んで、秀案寺の透関和尚を通じて出仕を命じたのである。「窮屈な城勤めなど眞ッ平」と一度は辞退した庄助だったが、今では、忠僕・甚兵衛の娘・お光の居酒屋勤めでやっと朝酒にありつける窮乏生活、ましてや生来のお人好しから、駒田主水、天野忠兵衛と云う二人の居候をかかえ込んだ現在とあっては、悲壮な覚悟で生まれて初めての宮仕えを決心せざるを得なかった。懐かしい髯とも別れ、裃姿に威儀を正して出仕した庄助に容保公が与えた役は、妹・信姫の武術指南係だっが、姫の前に立った庄助は薙刀の一閃に足を払われて無様にひっくり返ってしまった。剣を取っては江戸練兵館・斉藤弥九郎にも負けをとらず“底無し沼”と称する秘剣を持つ庄助も、女が近づくと震いを起こすと云う奇病の持ち主だった。信姫は豊前中津の奥平へ輿入れしたが、直ぐに戻って来た。自分より文武に劣る夫には添えぬと云う。高慢の鼻を折って女らしくさせようとした容保もがっかりするが、悄然とうなだれる庄助に、今度は南山口にある下屋敷に出没する化け物退治を命じるのだった。「女以外は恐れるものはない」と愛用の徳利をぶら下げて勇気凛々、下屋敷に乗り込んだ庄助は、出てきた化け物・一つ目小僧に三つ目小僧をキリキリ舞いさせているところに信姫が庄助の真の腕前を伺いに姿を見せた。思わぬ姫の姿を見た庄助は、一度は例の病を起しかけるが、化け物と思えば強いもの、水仕事から酒の肴のクサヤの干物を焼かせて信姫の心得違いを説いて聞かせた。無骨な中にも暖かみのある庄助の言葉に女の生き方を知った信姫は、目に涙さえ浮かべて去って行ったが、そこに庄助の身を案じて駈け付けた甚兵衛、お光、主水、忠兵衛らの口から姫が化け物でない本物と聞いた庄助は、奇病を起こしてひっくり返ってしまった。
朝湯を楽しんでいた庄助の許へ突然昨夜のクサヤの干物を持った信姫が容保と共に訪れ、長い袖、長い裾を腰元に持たせて家事手伝いを始めるが、何時もの様に朝酒を届けに来たお光がヤキモチを焼いて一騒動を起こしてしまう。容保は姫の態度が変わった礼を云うと、庄助に若松城内に続々潜入してきていると云う幕府方、勤皇方の密使たちの目付役を命じた。庄助の窮状を救わんものと小原家の名器を筒井屋に売りつけようとした主水、忠兵衛はかえって一杯食わされ、その腹いせにと筒井屋にインチキ大砲を売り込んだ。千丈ガ原の大砲試射場に政右衛門、武具奉行・長阪将監、勘定奉行の立会いの下に行われたインチキ大砲の試射は、奇跡的な威力を発揮したのも束の間、着弾地で発射を合図に仕掛けられた火薬の点火を受け持っていた子供たちが祭囃子に気を取られて点火のタイミングを狂わせたため大失敗となってしまった。
その翌日、再度の失敗にしょげる二人や心配顔の甚兵衛、お光たちに庄助は切腹すると云う。容保の過分な知遇にも、また折角任ぜられた目付役の重責を果たしえぬ自責に耐えられなくなったと云うのである。「ワーッ」と泣きつくお光と甚兵衛。その時主水、忠兵衛の二人が思わぬ告白をした。主水は久世大和守の密使、忠兵衛は薩長方の密偵で、更に二人の語るところによれば、下屋敷に化物を出没させて人を近づけぬようにしたのは武具奉行・長阪将監であり、筒井屋の手引きで老中・久世大和主と通じ、しかも幕府、薩長の密偵が合同で信姫を人質とし、日没を待って滝沢峠から国境を越えるというのであった。これを聞いた庄助は、今や庄助の人格に感化されて改心した主水、忠兵衛を引き連れて滝沢街道の荒れ寺まで飛んだ。今ぞ真価を放つ庄助一世一代の剣の舞“底無し沼”の構えは冴えわたる。「この場に於いても、わらわは女らしくしとやかであらねばなりませぬか」と、信姫も庄助の脇差を渡されて大暴れ。
それから数日、満月の光の中に天守の甍をくっきりと浮かばせる鶴ヶ城の大手門前の広場。奥平へ戻るという信姫が天守で歌う「会津磐梯山は宝の山よ…」のメロディーに合わせて、庄助、お光、甚兵衛、主水、忠兵衛を中心に楽しい合唱と踊りの輪は何時果てるともなく続いていった。

NO IMAGE
ページの先頭へもどる
一般社団法人 日本映画製作者連盟・会員(4社)