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不敵なる脱出 

Darling Escape

1961(昭和36年)/2/22公開 75分 モノクロ シネマスコープ 映倫番号:12001 
配給:東映 製作:東映

不況におそわれた炭鉱を後に、明るい希望を抱いて純粋に強く生きようと上京して来た青年が、悪徳の都会生活に押し流されながら、敢然として悪の世界から立上る姿を赤裸々に描くアクションドラマ。江口隆彦のオリジナルシナリオ、監督は先に第二東映初のカラー作品「海底の挑戦者」を手がけて好評を拍した新鋭相野田悟監督が快心のメガホンを握る。出演者は松方弘樹、その恋人に宮園純子。   

不敵なる脱出 
(C)東映

ストーリー

まだ眠りから醒めたばかりの静まり返った大都会の朝、その平穏な朝の空気をよそに、仕事にアブレた日雇人夫たちは、けたたましく一日の生活の糧を求めていた。その中に一人逞しい青年がいた。不況の波にさらされている炭鉱をクビになり、東京に夢を托して親友橋本と共に上京して来た郁夫である。それでも三日、四日と必死になって足を運ぶうち、かつてのダンプカー運車士という経験を認められて、地下鉄工事のトラック運転手として就職が決まった。彼の胸は希望にふくらんだ。
また二日目の朝、人混みに押しつぶされている朱実という娘を助けてやったことから、彼女と知り会った。明るい性格の朱実は、数年来の不漁から田舎を後に、これも郁夫と同じように職を求めてはるばる北海道から上京して来た少女だった。こうした共通した二人の環境が、急激に二人を近づけた。間もなく朱実も喫茶店のウェイトレスとして働き始めた。
数日後、郁夫のダンプカーは、ふとしたことから不良大学生外丸一味にマークされていた。それは、極道息子ばかりの外丸、水野、北村、エミなどクラブキャリオカを根城とする一味によって、外丸の父の愛人である圭子のバー襲撃に、彼等のアリバイつくりのために計らずもダンプカーを利用されたのだった。郁夫はエミの置き忘れたハンカチを証拠に、無実を証明しようと迫ったが、たまたまその夜、受け取った僅かの金にいいがかりをつけて、共犯であると逆に脅迫される始末。彼等の卑劣な行為に憤怒を感じながらも、郁夫は事件の発覚を恐れて建設会社という表看板の外丸組に足を踏み入れてしまった。そこは、外丸の父が実権を握る土地のぐれん隊ばかりの暴力団に近い会社だった。郁夫はパチンコの景品買い、恐喝、押売りと街のダニのように街中をうろつき、生活は日一日と荒んでいった。幹部の町田にも紹介されて顔は売れてきたが、九州から上京して来た当時の夢はあとかたもなく消えていた。それでもまだ一つの明るい希望があった。それは朱実である。丁度その頃、彼女は母親の迎えをうけて、北海道に帰ろうとしていたが、朱実もまた郁夫からは離れられない仲になっていた。そして、目に余る郁夫の無軌道ぶりを制止するものは、朱実の真心のほかには何もなかった。
やがて郁夫は、建設省汚職に関連し罪の発覚を恐れた外丸経三のため、直接関係当局の課長殺害を命じられた。折も析、朱実のために十万円という金を作らねばならなかった郁夫は、捨鉢となって、その悪事を引き受けてしまった。苦悩する郁夫を見て、何かと心を配る健という外丸組の兄貴分、彼は以前、同じように外丸に利用されて世の中から転落させられた男だった。健は郁夫の姿に、昔の自分を見るような思いがして、この無謀な殺人行為を止めようとした。だが郁夫は聞かない。親友橋本の小心な故の愚かなる犯罪を目のあたりに見て、郁夫の若い反抗はいよいよ爆発した。恐怖におののく課長の背後に、郁夫の兇弾が迫った。だがこの時、健が飛び込んで、郁夫の暴挙を喰い止めてしまった。外丸の秘命を受けた幹部町田は、この計画失敗と見るや、郁夫と健に銃弾を浴びせかけた。悪夢からさまされた郁夫は、健によって朱実の危機を知らされ、キヤリオカに急行した。朱実を襲う外丸たちの醜い正体、郁夫は捨て身で乱斗の中に飛び込んだ。激斗数刻、朱実を守る郁夫の危機を救うように警官隊が駈けつけた。兇弾に傷つき病院に運ばれる健を見送りながら、非行をさとった郁夫は、朱実を強く抱いて正しく生きようと誓うのだった。

不敵なる脱出 
(C)東映
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