1961(昭和36年)/3/12公開 89分 カラー シネマスコープ 映倫番号:12216
配給:東映 製作:東映
悪と腐敗の権力に挑み、敢然と正義を貫き、命を賭けて愛をつらぬいた若き日の大岡越前守。その多感な青春と胸のすく闘いを描いた娯楽時代劇。
忠相の鋭い目は、宗悦の奥座敷の海老屋の屋号入りの袋に麻薬が入っているのに気づいていた。屋敷に戻った忠相は又平に助け出された喜兵衛から、海老屋殺しの真相を聞き出した。死んだ海老屋は、宗悦の命をうけ麻薬の密輸を行い、莫大な利益をあげたが、取引を覚えるにつれ目先の欲にかられ、折あらば宗悦から離れて独立しようとするのにきづいた宗悦が、番頭喜兵衛を抱き込み、虎五郎に海老屋を殺させたのだった。「喜兵衛よく云ってくれた。だがお前がおかした罪が、それで消ゆるものと思われぬ。今事件の背景もしらず一人の女が無実の罪に消えようとしている。喜兵衛、お前は生証人としてわしと一緒に奉行所に行くのだ」喜びにあふれる忠相が、喜兵衛ともども立ち上がろうとした時、高窓から鋭い音をたてて小柄が投げ込まれ、大切な生証人喜兵衛の口を永遠にとざしてしまった。
今日はいよいよお栄処刑の日。遂に意を決した忠相は、お栄無罪の承認を宗悦自身に求め単身、宗悦の屋敷にのり込んだ。それを迎える竜神一家、そしてその後に北町奉行松前伊豆守の顔。宗悦は北町奉行も又一味にだき込んでいたのだ。
一生一度の恋を守るため群がる敵の中に躍り込んだ忠相は、右に左に斬り倒し、ついに奥座敷にかくされた証拠の品麻薬の袋を手に入れたが、その胸板に宗悦の短銃が冷たく光った。とその時、喚声をあげてなだれ込んだのは忠相の親友高橋兵助をはじめとする南町奉行所の面々。その後に一身を賭した遠江守が馬上豊に姿を現した。遠江守は、忠相に正義を貫かせようと、わざと職制にわずらわせぬ市井の人としての日々をおくらせたのだった。無事、事件落着。無実の罪のはれたお栄は遠江守の養女として引き取られることになった。やがては忠相の妻に――幸福はもう目の前にやってきているのだ。