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逆襲の街　

1961（昭和36年）/4/5公開　72分　モノクロ　シネマスコープ　映倫番号：12205　
配給：東映　製作：東映

現代に生きる若者たちの何ものにも屈しないエネルギッシュな生命力を痛快なタツチで描く青春アクションドラマ。野望の為なら手段を選ばずといったドライ青年、前途有望なボクサー健二が収入の少ないボクシングを捨て、自ら若いグループを以て、会社を設立、奇抜なアイデアと持ち前の度胸で次々に新事業を拡張発展させる。これを心よく思わぬ街の暴力一昧との痛快な対立、健二が想いをよせるデザイナーの洋子との恋愛、そして洋子の弟、敏夫を一人前のボクサーに育てようとする健二の男の友情等々波瀾万丈の物語が軽快なテンポで展開してゆく。出演者は、健二に梅宮辰夫、洋子に三田佳子のゴールデンコンビが第11回目の顔合せ。

ストーリー

里見健二は、新入王を獲得する程の前途有望なボクサーであったが、彼のドライな世渡り哲学から見れば、収入の少ないボクサー稼業は、そんなに魅力あるものではなかった。　健ニは拳斗の世界を惜しげなく捨てた。ある日、彼はバー相手のオツマミ売りをやっている美しい少女洋子を助けた事から、彼女のその商売が意外な稼ぎになることを知った。彼は三公、リキ、ナベ公のチンピラ仲間を早速集めて、バー相手のオツマミ売りを始めた。それは、30円のものを500円で売り、暴力で有無を云わせない強引なものであった。
売り上げは上々、洋子も仲間に加入した。洋子の本職は、コマーシャルデザイナーで、真面目な学生ボクサーである弟敏夫と二人で暮していた。強精剤の入ったおつまみ、キス・マーク入りのおしぼり、女給相手の下着洗濯など、洋子の漸新なアイデアによって健二の事業は発展の一途をたどった。こうした強引な商売と共に、キャバレー“オネガ”の女給をしている三公の恋人トキの聞き込みを利用して、高額な服地を強奪するなど悪辣な行動も見せる健二だった。目的の為には手段を選ばずといった健二のドライさに反感を持っていた敏夫は、姉の洋子が健二と親しくなることを心よく思わず、姉の許を離れてプロボクサーに身を投じた。
やがて健二たちは、洋子の提案で会社を設立することになった。それには、事務所が必要であった。健二は“オネガ”の経営者、李程承が所有する関東ビルに目をつけた。健二は、地下室で李程承が開いている賭博を警察へ密告し、李程承を逮捕させ、その報酬としてビルの一室を無料で借りようとする計画を立てた。作戦は成功したが、李程承だけは素早く姿をくらましていた。
かくて健二を社長とする新会社が誕生した。敏夫は、発起人の中に無断で自分の名が銘記されているのを知り、健二に対する反感を爆発させた。激しく殴り合う健二と敏夫、この時、健二は、敏夫の意外な腕力の強さを、そしてボクサーとしての素質を知った。健二の貪欲な野望は飽くところを知らなかった。李程承手入れの際に逮捕された、女高利貸　古河百合枝の焦げつき貸金に目をつけた彼は、代理取り立ての手数料で一儲けを企んでいた。百合枝の話によれば大阪の鍋島家に300万円の焦げつきがあるという、すぐさま大阪に飛んだ健二たちは、鍋島から300万円の金塊を没収、そのまま着服してしまった。
ある日、鍋島から聞いたといって、トキがボロい話を持って来た。神戸の港一家と対立していた尼崎の灘一家がダイナマイトを欲しがっているというのだ。トキはダイナマイトを待っている自動車修理工場を健二に紹介した。健二は、ダイナマイトを買うために、金塊と事務所を担保に百合枝から金を借りた。健二は、この大仕事に夢中だった。健二と三公は、ダイナマイトを積んで大型トラックを走らせた。だがその途中、港一家が待ち伏せていた。どっちについても損かないと見た健二は、50万円の現金と1800万円の小切手でこれを港一家に売り渡した。だが、1800万円の小切手は偽物だった。50万円の現金も、チャンピオン挑戦のファイトマネーに窮していた洋子と敏夫に渡し、健二は、遂に無一物になってしまった。激怒を秘めた健二は、ナベ公、リキと共に、トキが紹介した自動車修理工場に押し入った。そこには、鍋島、港一家と名乗ったヤクザ、自動車修理工場の主人たちが居た。勿論彼等はグルだったのだ。健二は、月島のバラックに鍋島を人質とした。その鍋島の意外な告白によると、彼ら鍋島一味を操っていたのは、李程承だった。百合枝は李程承の情婦なのだ。折も折、洋子を人質にした李程承は、洋子と鍋島の交換を提案してきた。約束の交換場所は月島のバラック、健二の機転により洋子は虎口を脱することが出来たが、鍋島は非情な李程承の為にダイナマイトの犠性となった。そのダイナマイトによって無残にも崩れた金塊、それは実は鉛の塊だったのだ。　法網の遣るのを知った李程承は、百合枝と共に国外脱出を計って大森海岸へと急いだ。健二は、拳銃を手に李程承と対決した。火花散る激斗数刻、李程承は健二を狙った百合枝の誤った弾丸に殺された。怒号と喚声わくリング、敏夫は晴れのチャンピオンの王座を獲得した。健二と洋子はその嵐のような感激を浴びて、再出発を誓い合っていた。